あなたの子ですが、内緒で育てます
 あの時、ルドヴィク様をなにがなんでも動かして、セレーネを探すべきだったのだ。
 セレーネがいるせいで、わたくしは惨めな存在になる。

「こんなものっ! いらないわよ!」

 ネックレスを床に叩きつけた。
 ロゼッテが怖いと言って泣き出した。

「ロゼッテ、なにを泣いてるの! 部屋へ戻るわよ!」

 泣いているロゼッテを引きずって、セレーネの部屋から出る。

 ――セレーネ! よくも、わたくしを追い詰めたわね!

 こうなったら、最後の手段を使うしかない。
 ルチアノさえ、いなくなれば、邪魔なセレーネを再び、この王宮から追い出せる。
 そして、わたくしの子、ロゼッテだけが王の子の力を持つ子になるのだ。
 
「お、お母様……」
「ねえ? ロゼッテも女王になりたいわよね? だから、協力するのよ?」

 ロゼッテは、わたくしの心を読んだのか、震えながらうなずいた。
 王の子は二人もいらない。
 今度こそ、セレーネを完全に王宮から追い出してやるわ。
 二度と戻って来れないように――ね?
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