あなたの子ですが、内緒で育てます
 姿を見せないデルフィーナとロゼッテ。
 デルフィーナが、なにか目論んでいることは間違いないのだ。

「ルドヴィク様、私が生きているのは、ザカリア様のおかげなのです。七年前、デルフィーナを選んだのなら、どうか彼女を見捨てず、最後まで愛してあげてください」

 セレーネの言葉がとどめとなり、兄上は黙り込んだ。
 味方がいなくなったデルフィーナを止められるのは、兄上しかいない。

「それが、ルチアノのためでもあるのです」

 ルチアノの身に危険が及ぶ最悪の事態を避けたい――そう考えていたのは、俺もセレーネも同じだった。 
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