あなたの子ですが、内緒で育てます
 ザカリア様はロゼッテ王女に言った。

「生まれた時から、心を読めと言われ続けてきたせいだろう。人の心を読むことが当たり前になっている」
 
 ロゼッテの周りには、力を使うなと言ってくれるような大人はいなかったのだ。
 邪魔に思ったデルフィーナが排除してしまったせいで。

「このままでは、狂ってしまうだろう。ジュスト。ロゼッテ王女を一人にするんだ。休ませる必要がある」
「わかりました」

 ジュストはロゼッテ王女を抱えた。

「ジュスト、ロゼッテは元気になる? 大丈夫?」
「はい……。時間はかかるでしょうが……」

 ロゼッテを連れていこうとしたジュストに、ルチアノはしがみついて尋ねた。
 けれど、ジュストの表情は固い。
 
 王宮で王妃による毒殺未遂事件あり―― その話が離宮に届いても、ルドヴィク様は王宮へやってこなかったのだった。
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