あなたの子ですが、内緒で育てます
「あいつの力は、消えない代わりに一度しか使えないからな」

 ザカリアの力は、役に立たずの使えない力だ。
 気にするほどでもないと判断した。
 あとは、セレーネの気持ちだが、ザカリアがいなくなれば、こちらに向くだろう。
 セレーネから縁を切られた侯爵が、領地から出てこなくなった。
 ザカリアという後見人がいなくなったセレーネが頼れるのは、俺だけというわけだ。
 
「さて。ザカリアをどう始末するか」

 本を読みながら、一人でチェスをする。
 あいつには、駒が多い。
 騎士のジュスト、クイーンのセレーネ――だが、駒の多さは守るものの多さでもある。
 守られてきた俺には、いつも守るものがなかった。

「それこそ、チェスのキングのようだ」

 周囲を固められ、守られ、生きてきた。
 今や、俺は一人。
 
「ルドヴィク様。王宮より、ロゼッテ王女について、話し合いたいと使者が参っておりますが」
「追い返せ」
「えっ!? ですが……」
「ロゼッテはすぐに泣く。デルフィーナに似てうるさい」
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