あなたの子ですが、内緒で育てます
「護衛なら、自分と部下にお任せを。ルドヴィク様が離宮に連れて行った護衛程度の腕なら、たいしたことはありません」
「え……ええ。もしもの時は……お願いね」

 頼もしいけど、なんだか血生臭く感じたのは気のせいだろうか。

 ――ザカリア様の命を狙ったルドヴィク様を始末するつもりで、ジュストが離宮へ行きたいなんてことはないわよね?
 
「ロゼッテもお父様に会って、お話したいって言うし」
「そうね。ロゼッテは寂しいわよね……」
 
 母親のデルフィーナが修道院へ入り、ルドヴィク様は離宮に行ったきり戻ってこない。
 ロゼッテは両親がいない状態なのだ。
 時々は、会わせてあげたいと思っている。

「ね、お母様。離宮に行ってきてもいいでしょ?」

 ザカリア様のほうを見ると、少し寂しそうな顔でうなずいた。
 ルチアノが父であるルドヴィク様に会いたいのかもしれないと、ザカリア様は思ったようだ。

「セレーネ。ルチアノがこれだけ言うのなら、兄上に会わせてやったほうがいいだろう」
「そう……ですね」

 私もなんとなく、寂しい気持ちになりながら了承した。
 けれど、ルチアノとロゼッテには、考えがあった。
 私はそれをまだ知らない。
 ルチアノとロゼッテは、自分たちの思惑を隠して、離宮へ向かったのだった。
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