あなたの子ですが、内緒で育てます
「兄上はセレーネを誘き寄せるつもりかもしれない」
「私を? 誘き寄せたいのは、ザカリア様ではなく?」

 私が首を傾げていると、横からルチアノが割って入ってきた。

「ザカリア様、お母様。ぼくが行くよ!」

 ルチアノが元気よく、『はいっ!』と手を挙げた。

「二人が駄目なら、ぼくが行けばいいんだよ。ロゼッテと一緒に行ってくるっ!」
「ルチアノ。あなた、遊びに行きたいだけじゃなくて?」
「そんなことないよ。ロゼッテと二人で行けば、向こうの様子がわかると思うな~」

 ルチアノは否定していたけど怪しい。
 でも、ルチアノとロゼッテ相手なら、ルドヴィク様も油断するだろう。

「ぼくから、王位をくださいって頼んでみる!」
「そんな……。簡単にくれるわけないでしょう?」
「セレーネ様。これは名案かもしれません。誰が行っても同じなら、ルチアノ様とロゼッテ様が行き、ルドヴィク様がなにを考えてるか、真意を探ってみるのも一つの手かと」
「それはそうだけど……」

 ザカリア様が行くより、安全であることは確かだ。
 いくら、ルドヴィク様でも、自分の子の命を奪ったりしないだろう。
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