あなたの子ですが、内緒で育てます
 王の力を持つもの。
 ザカリア様、ルチアノ、ロゼッテ王女だ。
 ルチアノの存在を知らないルドヴィク様とデルフィーナは、ザカリア様を警戒している。

「ルドヴィク様やデルフィーナが、ザカリア様を暗殺するとは、考えたくないけど……」

 民からの信頼が高いザカリア様を煙たく思っているだろう。
 そう思っていた数日後――王宮から使者がやってきた。

『ザカリア様、どうか王宮へお戻りください。民の不満は限界にまで達しております』

 大臣の名前が並ぶ書状を持ち、 額を床につけ、王宮の惨状を涙ながらに訴えたのだった――
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