あなたの子ですが、内緒で育てます
「俺は家族を持たないと決めていた」

 七年間、ザカリア様と共に暮らしたけれど、結婚の意思はなく、領地の人々も口にしなかった。
 ザカリア様の心の傷が癒えるまで、誰も言えなかったのかもしれない。

「だが、セレーネとルチアノと共に過ごし、家族がいたら幸せなこともあるのだと知れた」
「私もルチアノがいて、幸せに気づかされることが、たくさんあります。それに、今のザカリア様には、たくさんの家族がいらっしゃいますわ」

 王宮に戻ることを決めたのは、領地の人々を守るため。
 そして、優しいあなたを――

「ザカリア様。私と共に戦ってくださいますか?」
「当たり前だ」

 ザカリア様は、いつもの強いザカリア様に戻っていた。
 そして、夜露に濡れた花を手折り、花を私の髪に飾る。

「必ず、ルチアノを王にするぞ」
「はい」

 七年間の平穏な日々が終わった日、私たちは共に戦う約束をした。
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