あなたの子ですが、内緒で育てます
「そんなわけなくてよっ! 大臣の一人が捕らえられ、一族を奴隷にされたのよ!? 大臣たちの報復に決まってるわ!」
「報復?」
ルドヴィク様は大臣たちが裏切ると思っていないようだった。
何度でも言わないと、ルドヴィク様には伝わらないらしい。
「ザカリア様を王にしようと目論んでいますのよ!」
「ザカリアを?」
「ロゼッテが女王になるのが決定いしているのに、これは謀反ではなくて!?」
「わたし、女王様になれないの~?」
ロゼッテ不満そうに口をとがらせた。
「ルドヴィク様。ザカリア様は領地を広げたいと考えているかもしれませんわ。いつ、裏切るかわからない野心家な男だと、噂でお聞きしました(そんな噂はないけれど)」
さすがのルドヴィク様も、これだけ言われるとその気になったのか、兵士を呼ぶ。
「調べてこい」
「調べて終わりなんて、甘いですわ」
「しかし……」
ルドヴィク様はいつもこう。
セレーネの時もそうだった。
最後まで追わず、死を見届けることもなく、逃がした。
――今回ばかりは、そうはさせない。
ロゼッテの王位がかかっているのだ。