あなたの子ですが、内緒で育てます
 王宮に向けて、伝令の馬が走っていく。
 もう後戻りできない。
 ザカリア様を捕らえるはずだった兵士たちに、にっこりほほ笑んだ。

「では、王宮まで護衛していただけますか?」

 一人では逃げるしかなかった私。
 でも、今は違う。
 ザカリア様とルチアノ、ジュスト――そして、ザカリア様の領地の人々が守ってくれている。
 デルフィーナに負け、一度は追われた王宮。
 私は再び、その王宮に戻ってきたのだった。
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