あなたの子ですが、内緒で育てます
「私は王の子の母ですが?」
「俺は弟だが」

 ――なんだ、こいつら。
 
 完全に俺のことは無視だ。
 兵士もまったく俺の言うことを聞かない、
 いや、兵士だけでなく、大臣もだ。

「おい、これは謀反じゃないか? ザカリアの領地の兵士がいるんだが?」
「いいえ? ルチアノという王の子の力を持った子がいるのに、謀反とは言いがかりですわ」
「血《《だけ》》は受け継いでいるからな。兵士は、ルチアノを護衛するため連れてきた」

 子供の護衛と言われたら、反論のしようがない。
 それにしては、数が多いような気がしたが、どうやって排除すればいいかわからなかった。

「セレーネ様。運びますね~!」
「ええ、全部、売っていただいて構いません」
「高値で売れよ」

 今まで、俺とデルフィーナが、購入した物を容赦なく売っていく。

「趣味の悪い皿だな」
「そうですね」
 
 ザカリアはいちいち、俺の趣味にケチをつける。
 セレーネは『抽象的な表現をもちいた芸術品でしょうか』と、一応褒めてはいるものの、売却リストに加えていた。

「ルドヴィク様も協力するつもりがおありなら、デルフィーナたちの使わないドレスやアクセサリーを持ってきてください」
「持ってきてどうする」
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