【こちらはマンガシナリオです】正しい愛し方教えてよ

最悪な出会い

8月上旬
○夜の居酒屋、テーブル席
美琴の向かいに結菜と萌が座っている。グラス片手にうなだれる美琴。
美琴「…なんで…なんでよぉ…」
結菜「普通に飲む予定だったのに、まさか失恋慰め会になるとはね」
あっさりしてる様子。
萌「辛かったよねぇ。でもさ、みこちゃんにはもっと良い人いるよぉ」
結菜「そーそー。だからもう忘れなってば」
美琴「だって、ついこの前だよ!?そんなすぐに忘れられるわけないじゃん。4年も付き合ったのに…」
結菜「そもそもさ、恋愛感情って3年で無くなるらしいよ。4年も続いたことがすごいよ」
萌「あ、それ聞いたことあるー」
美琴「だからって浮気していい理由になる!?」
勢いよく言い返す。
伏し目がちに元彼とのことを思い返す。
美琴(高校の先輩だったよしくんと付き合って約4年。別の大学に通っていたけど、定期的に会って、ケンカもなく順調だと思っていた。数日前、どうしても会いたくなって、よしくんのバイト先にアポ無しで行った)

○回想、数日前の夜、よしくんのバイト先であるファミレスの外
美琴(そろそろ終わる頃かな)
男女の話し声が聞こえる。よしくんと可愛らしい感じの女の姿が見える。
女「お疲れさまー。今日ウチ来るでしょ?」
よしくん「うん、早く癒されたい」
美琴(え、どういうこと…)
戸惑いながら2人の前に立つ。
美琴「何してんの…?」
よしくん「!?みーちゃん…何でここに…」

○再び居酒屋
結菜「相手は知らない子だったの?」
美琴「うん、初めて見た」
結菜「就活で忙しそうだったのに、まさか呑気に浮気してるなんてね」
萌「私たち3年生は、これから将来を左右する大事な時期なのに、メンタル揺らさないでほしいよねぇ」
美琴(将来…。そうだよ、今は夢を叶えるために頑張らないと…)
「…決めた!教師になるまで恋愛なんてしない!夢叶えてあんなヤツ忘れてやるわ!」
グラス片手に勢いよく宣言する。
修「人前で感情のコントロールも出来ねぇ奴が、教師になれんのかよ」
口元だけのショット。隣の席からボソッと声が聞こえる。
美琴「…は?」隣を見る。
派手な髪色に、いくつかピアスをつけた修は、前を向いたままビールを飲んでいる。
美琴(なんなのいきなり…)
「ちょっと!どういう意味よ!!」
修「そのまんまの意味だけど」
美琴(はぁー!?)
悪気の無い態度に、前のめりになり睨みつける。
結菜「ちょっと美琴、落ち着いて。すみません、この子色々あって」
笑顔で謝る。
森下「いえいえ、こちらこそすみません。修、そのへんにしときなよ」
修の向かいに座る森下がなだめる。
修「その若さでやけ酒って…もっと自分の身体大事にすれば?」
修は冷静な口調、美琴は荒々しい。
美琴「別にやけ酒じゃないですけど?楽しく飲んでるんですけど!?」
修「楽しそうに見えねーけど。てか、あんたモテねーだろ?」
美琴「はぁ!?何なのさっきから!そっちこそ初対面の人相手にそんな態度じゃモテないんじゃないですか!」
修「あんたよりはモテる。つーかさ、そんなんだから振られるんじゃね?」
ブチッ
美琴「…傷ついた女心が分からないお前みたいな奴が浮気すんだよ!モテるからって調子乗んじゃねぇーーー!!」
声を荒げ立ち上がる。周りがしーん…となる。
美琴は他の客の視線が恥ずかしくなり、これで払っといて!と札を机に置き、店から足早に出て行く。

○公園
ベンチに座っている美琴。落ち込んでる様子。
美琴(自分でも分かってる。こんな事で取り乱して、関係ない人にあたるなんて間違ってるって。だけど…)

過去の記憶
よしくん「みーちゃん」
優しい表情。

美琴(3年以上経っても好きだった。少し頼りないけど、優しい彼を支えたいと思ってた)

○カフェ店内、昼間、過去
浮気現場に遭遇した次の日。向かい合わせに座る美琴とよしくん。気まずそうな顔のよしくん。
よしくん「…。」
美琴「いつから?」
よしくん「…2ヶ月前」
美琴(全然気づかなかった。心のどっかでよしくんが浮気なんてするわけないって思ってた)
「よしくんは、どうしたいの?」
よしくん「…。」
下を向く。
美琴「黙るってことは、別れたいってことだよね…」
よしくん「…うん。…俺は、みーちゃんみたいに強くないから、ごめん」
美琴(何でそっちが泣きそうな顔してるの。泣きたいのはこっちなのに)
やりきれない表情の美琴。

○公園
近くに修が現れ、ベンチにいる美琴を見つける。美琴は気付いていない。
美琴(はぁ…何でこんなタイミングで…。さすがにダメージが大きすぎる)
「…私だって強くないし……うわぁーん…」
上を向いて泣き出す。
修「…。」
一度その場を離れる修。

数分後。ベンチで泣く美琴。
美琴「ぐずっ…」
ざ、ざ、人の足音が聞こえ向くと修がいる。
美琴(!?え、何で!?)
パニックになりながら、急いで涙を拭く。
どすっ、修が隣に座る。
美琴(どうしよう、因縁つけられたら…)
修「急に帰って友達困ってたけど」
美琴「後で謝るし…わざわざそんなこと言いに来たんですか?」
修「…これやる」
ペットボトルを差し出す。
美琴「…いらない」
そっぽむく。
修「ほんと可愛くねぇな」
美琴(可愛く…)
浮気相手の女を思い浮かべる。
美琴(私と正反対の子だったなぁ。可愛くて、守ってあげたくなる感じ)
「…何が分かるのよ。あんたに私の何が分かるの!?なに?甘えることが可愛さなの?辛い時でも感情をコントロールしなきゃいけないの?…私のこと知りもしないで、否定ばっかしないでよ!!」
後半は大きな声で言う。
美琴(あー、またあたってる。最低だ、私。不器用で損な性格。ほんと嫌になる…)
修「…じゃあ、教えろよ」
美琴「…え」
美琴にぐっと近づく修。
修「お前のこと、知りたい」
真っ直ぐ見つめる。アップめ。
ドキッとする美琴。
美琴「…っ意味分かんない!帰る!」
走り去る美琴。

月明かりの道を走りながら。
美琴(何なのあいつ…知りたいって…)


数日後。
○春並大学※美琴たちの通う大学名、昼
外を歩く美琴と萌。
萌「こっちの食堂久々だねぇ」
美琴「そうだね。メニュー替わってるかなぁ」
大学には3ヶ所、食堂やカフェがある。美琴と萌は教育学部の棟に近い別の食堂に行くことが多い。
萌「そういえば、この前二日酔いとか大丈夫だったぁ?」
美琴「あぁ、うん。次の日一日中寝たらなんかスッキリした。ごめんね、萌たちにも迷惑かけちゃって」
萌「ぜーんぜん。あのお兄さんにもどこかで会ったら謝らないとねぇ」
美琴「そうだね…」
(萌たちには公園でもう一悶着あったことは言っていない。まぁ、あの男に会うことはもうないだろうけど)
食堂の入り口に着いた2人。
修「あ」
美琴「え?」
反対側からやってきた修、森下と向かい合う図。驚く美琴。
美琴(!?…ええええええ、同じ大学ーーー!?)
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