【こちらはマンガシナリオです】正しい愛し方教えてよ

甘く打ち上がる

○大学、食堂、昼
テーブルに向かい合わせに座る4人。
美琴「先日は大変申し訳ありませんでした。酔っていたとはいえ、失礼なことを言ってしまい…本当にごめんなさい」
頭を下げる。
美琴(世間って狭い…。まさか同じ大学だったなんて。どうしよう、6年生とかだったら…)
修「俺も悪かったんで。顔あげてください、先輩」
美琴(ん?)
ばっ、と勢いよく顔を上げ、修の顔を見る。
美琴「…先輩?…え!?年下!?」
修「薬学部2年、中峰 修。改めてよろしくー」
美琴(このチャラそうで偉そうな奴が薬学部…)
信じられない様子。
美琴「いや、待って。2年って…ビール飲んでたじゃん!」
修「俺もこいつも誕生日過ぎてて20歳だから」
森下「あ、自己紹介遅れました。法学部2年の森下 海斗です。よろしくお願いします」
美琴(この子はまともそう)
修「で、そっちの名前は?」
美琴「あ、笹原 美琴です」
萌「上田 萌だよ。よろしくねぇ」
修「美琴、もえもえって呼ぼーっと」
萌「好きに呼んでー」
美琴(ノリが軽い…そして何で私は呼び捨てなの)
修「2人とも教育学部なんだよね?」
萌「うん、そうだよぉ」
修「教育学部に知り合いいないんだよなー。良かったら連絡先教えて」
美琴(雑なナンパみたい。ま、関係ないけど)
萌「ほら、みこちゃん」
隣の萌がにこにこしながら指示する。
美琴「…えっ!?何で私!?」
萌「だって私、彼氏いるしー。それに、仲直りの印に2人が交換した方がいいかなぁって」
美琴「えぇー」
渋々交換する様子。
森下「修、そろそろ行こっか」
修「りょー」
席を立つ修と森下。
森下「じゃあ、失礼しますね」
手を振る萌の横で、軽く会釈する美琴。修と目が合う。
修「じゃあね、美琴せーんせい」
少しニヤついた顔で言い、去って行く。
美琴(あいつー!絶対バカにしてるー!!)
腹を立てる。


次の週。
○花火大会が行われる会場、夕方
私服姿の美琴と結菜が露店が立ち並ぶ場所にいる。
結菜「花火まで時間あるし、先になんか食べようか」
美琴「そうだね」

道沿いのベンチに座り、買ったものを食べる2人。
結菜「例の子とは連絡取ってるの?」
美琴「え?」
結菜「薬学部の」
美琴「あぁ、なんかよく分かんないスタンプ送られてきたけどスルーした」
結菜「もったいないなぁ。せっかくモテ男と交流できるのに」
美琴「いや…」
修「あれ?美琴じゃん!」
美琴が声の方を向くと修と森下が歩いてきた。
美琴(げっ)
結菜「あ!噂をすれば。私、お店で会ったんだけど覚えてる?同じ大学なんだよね?」
梓「あ、もえもえの隣にいたよね?」
結菜「そーそー。福本 結菜です。よろしくね」
修「中峰です。よろしく」
森下「森下です。よろしくお願いします」
ぺこりとお辞儀する。
早く去ってほしいオーラを出す美琴。それに気付いた修は軽く口元が緩む。
修「せっかくだし一緒にまわるか」
美琴(え?)
結菜「私はいいけど」
美琴(結菜!?)
森下「僕も構わないよ」
美琴(えええええ)
修「よし、決まりな」

露店を見ながら歩く4人。
結菜「あ、射的したい!」
射的をする結菜。それを見守る3人。
結菜「よし、絶対取る!」
シュールなぬいぐるみを狙う。
美琴「結菜、狙いおかしいって!あはは!」
じっと美琴を見る修。視線を感じる美琴。
美琴「?なに?」
修「笑ってるとこ初めて見た」
美琴「えっ…。人をぶっきらぼうみたいに言わないで。私だって普通に笑うし」
修「俺の前だと笑ったことねーじゃん」
美琴「それは…そっちがケンカふっかけてきたから…」
修「へぇ。じゃあ、仲良くなれば笑顔見れんだ」
悪そうな笑みを浮かべる。
美琴(え…なんか嫌な予感がする)
修「結菜ちゃん、美琴ちょっと借りていい?」
結菜「どーぞどーぞ」
修「行くぞ」
軽く美琴の腕を引き、歩き出す。
美琴「えっ、あ…ちょっと」
(どーぞじゃないからーーー!!)
手を振る結菜と森下。

修の半歩後ろを歩く美琴。
修「そういえば、なんで連絡無視すんだよ」
美琴「あのスタンプよく分かんなかったから」
修「俺のお気に入りスタンプに失礼だな」
「…。」
修「なんか甘いもん食いたい」
美琴(甘いものとか食べるんだ…)
修「お、チョコバナナ売ってるー」
露店に並ぼうとする修。
修「美琴もいる?」
美琴「ううん」
1人露店前に行く。
修「一本お願いしまーす」
美琴は周りを見る。
美琴(あ、フルーツ飴美味しそう…)
戻ってきた修は美琴の目線に気づく。
修「これ持ってて」
チョコバナナを美琴に渡し、フルーツ飴の店に行く。
美琴(あ…)
修がフルーツ飴を手に戻ってくる。
修「はい」
美琴に苺のフルーツ飴を差し出す。
美琴「え、ありがとう。お金…」
修「俺が勝手に買っただけだから」
美琴「いや、でもっ…!?」
喋る美琴の口にフルーツ飴を咥えさせた。
修「こーゆー時は甘えとけって」
パリッ
美琴(…甘酸っぱい。強引だけど、こいつなりの優しさなのかも)
少し頬が赤くなる。
修「俺もちょーだい」
返事を聞かず勝手に食べようとする。
美琴(もぉ、勝手に…)
ぱくっ
修の伏し目がちになった顔。
美琴(よく見るとまつ毛長。鼻筋も通ってて綺麗な顔…かっこいいな…。いや、待って私、今何考えてた?)
修「うまっ」

食べ終えた2人は、修の少し後ろを美琴が歩いている。
美琴(人が増えてきたな)
人混み。
美琴(わわわー)
前から来た人たちの波に流される美琴。
美琴(やばい…)
がしっ、修に腕を掴まれる。
修「勝手に離れんなよ、子供か」
美琴(……はぁ!?)
「だってっ…」
ぎゅ、手を繋がれる。
修「迷子対策な」
うしろ姿、または横から見た図。

人混みを抜けるとちょうど花火が上がる。
ヒューバァーン!!
修「おぉ、もう花火の時間か」
2人は打ち上がる花火を見上げる。
美琴(綺麗…)
チラッと修を見る美琴。
美琴(まさかこいつと花火を見るなんて)
スマホを確認する修。
修「海斗たち向こうにいるらしい。歩きながら見るか」
美琴「あ、うん」
スタスタ歩き出す2人。
美琴(なんだか調子が狂う)
繋がれたままの手を見て頬が赤くなる。
美琴(少しだけ身体が熱くなったのは、こいつのせいじゃない、この暑さのせいだよね…)
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