【こちらはマンガシナリオです】正しい愛し方教えてよ

デート?

10月
○大学、朝
学生たち歩いてる。
美琴(夏休みも終わり、通常の大学生活に戻った)

○講義室
席に座っている美琴。周りの女子が話している。
女子1「久しぶりー」
女子2「おひさー。さっきさ、中峰くん見かけちゃった。相変わらずイケメンだったわー」
女子1「まじで!いいなぁ。夏休み中たまに大学来たけど会えなかったんだよねぇ」
美琴(ふーん、モテるのは本当なんだ)
試合の日の出来事を思い出す。
美琴(結局泣き終えて、目の赤さが引くまで一緒にいてくれた。人前で泣いたのは何年振りだろう)

○大学の図書館、夕方
本を読む美琴。前に人が座り、コンコンと小さく机を叩く。美琴は目線を本から前に移す。
修がいた。小声で話す。
美琴「何してんの」
修「もえもえに聞いたら、図書館にいるって言われたから」
美琴(だからって何で来るの…)
呆れた様子。
修「なぁ、今度ドライブ行かね?」
美琴「え、ドライブ?」
修(お、意外と食いついた)
「行きたいとこどこでも連れてってやるよ」


数日後。
○大学の中庭
結菜「あ!」
結菜と萌がベンチにいると修が通りかかる。
修「美琴は?」
結菜「バイトー」
修「そっか。ねーねー、浮気した美琴の元カレって、どんな奴だったの?」
結菜「美琴の元カレ?うーん、私たちも数えるくらいしか会ったことないけど、控えめで優しい感じの人だよ」
萌「1つ上だけど、みこちゃんが引っ張ってるイメージだったかもぉ。私が支えなきゃって言ってたしねぇ」
修「そうなんだ」
萌「なになにぃー中峰くん、みこちゃんのこと狙ってるのぉ?」
修「…手応えゼロだけど」
結菜「お、まじか!応援するする!ぶっちゃけさ、元カレが頼りなくて、あの子全然甘えてない感じだったのよ」
萌「そうだねぇ。少し時間はかかるだろうけど、うまくいく気がするー!ガンガンいっちゃってぇ」
修「あはは、2人に言われると心強いわ。さんきゅ」

○美琴バイト先の映画館、夜
バイト中の美琴。
美琴(今さらだけどあいつと2人でドライブ…。言い合いになる予感しかしない。他の人も誘えばよかったかな)


後日
○コンビ二の外、昼
ドライブ当日。駐車場にSUVの車が停まり、窓が開く。
修「お待たせー」
少し戸惑いながら助手席に座る美琴。
修「良い天気でよかったな」
美琴「そうだね」
修「なんか聴きたい曲ある?」
美琴「何でも大丈夫」
修「じゃあ、適当に流すわ」
車内に音楽が流れる。
修「よし、行くか」
走り出す車。

美琴(私の好み知ってるのかなって思うぐらい曲のチョイスが抜群なんだけど。…異性の運転でドライブ…お父さん以外で初めてだ。よしくん免許持ってなかったし)
ちらっ。運転する修を見る。
美琴(比べる必要はないけど…よしくんと正反対だよなぁ。誰にでも馴れ馴れしいし、思ったことはストレートに伝えるし、勝手にとはいえ色々決めてくれる。…横顔が無駄にイケメン。こいつ黙っておけば…)
修「なに?見惚れてんの?」
信号待ちのタイミングで、ニヤつきながら聞いてくる。
美琴(やば、見てたのバレてた)
焦って前を向く。
美琴「べつっ…そっちの景色見てただけっ」
修「ふっ。つーか、道の駅行きたいって意外だったんだけど」
美琴「つい最近リニューアルされたらしくて、気になってたの。フォトスポットがあって、若者も楽しめるってSNSに載ってたから。あとね、ソフトクリームが絶品らしい!」
修「お、ソフトクリーム食べてぇ」
再び車走り出す。

○道の駅
車から降りた2人。
修「おぉ!思ったよりデケェー」
美琴「外観もお洒落だねー」
館内に入る。
修「腹減ったから先にソフトクリーム食べたい。美琴もそれでいい?」
美琴「うん」
ソフトクリームの列に並ぶ。
美琴「味選べるんだ」
修「迷ってんの?」
頷く美琴。
修「どっちも買えばいいじゃん」
美琴(こっちの意見も聞きつつ、リードしてくれる感じ、なんか新鮮だな)

ソフトクリームを手に館外のベンチに座る2人。
修「ん」
自分のソフトクリームを美琴に。
美琴「え」
修「溶けるから早くしろよ」
少し緊張しながら一口食べる。
美琴「…!おいしー!こっちも…」
(差し出していいのかな)
ぐいっ
迷っている美琴の手首を引き寄せ、ソフトクリームを食べる。
修「お、うめー!」
無邪気な笑みを浮かべる。
その後。
修「美琴、撮ってー」
フォトスポットでポーズをとる。
美琴「あはは!映えてる!」
さまざまな写真を撮る2人。楽しそうなシーンいくつか。
美琴(あれ、なんかすごく楽しいんだけど)

駐車場に戻る2人。
修「想像以上に満喫できたわ」
美琴「付き合ってくれてありがとね」
修「付き合いで連れて来たわけじゃねぇよ。俺も来たいと思ったから」
笑顔でそう言い、車に乗り込む修。
きゅん、となる美琴。
美琴(やば、不覚にもキュンとしてしまった…)

○帰りの車内、夜
運転中。
修「美琴って教師希望だから、一般企業への就活はしないんだっけ?」
美琴「あぁ、うん」
修「教員試験っていつなの?」
美琴「来年の夏」
修「そうなんだ」
美琴「…実はさ…今年受けたの」
修「今年?」
美琴「3年生も一次試験だけは受けられるの」
修「へぇ、知らなかった」
美琴「まぁ、ダメだったけどね…」
修「…。」
少し驚いている修。
美琴(こいつにこんな話する気なんてなかったけど、なんとなく聞いてほしくなった。楽しい時間を過ごせたからかな)
美琴「試験結果が分かった日に浮気現場に遭遇したの。笑えるよね」
無理に笑顔。
美琴(傷を癒やされに行ったのに、さらに傷が増えるとはね)
修「…そんであの日あんな荒れてたんだ」
美琴「うん…。だからさ、教師に向いてないみたいに言われて、つい声を荒げてしまって…ごめんね?」
少し気まずい顔をする修。
修「…俺こそ悪りぃ、何も知らずに」
美琴「ううん。…恋愛はさ、裏切られたのもあるけど、もういいやって思えたの。だけど、教師になりたい気持ちは1ミリも無くならなかった。恋愛は相手がいなきゃ始まらないけど、夢は自分1人で頑張れるし」
修「そっか。だから教師になるまで恋愛しない宣言してたんだ」
美琴「そーそー」

コンビニに着き車を停めた。
美琴「送ってくれてありがとう。楽しかった。…じゃあ、また」
シートベルトを外し、ドアに手をやる。
修「なぁ…」
美琴「え、なに?」
修「今日のデートさ、美琴とだからすげぇ楽しかった。1人だったらソフトクリームも1つの味しか食えなかったし、写真もあんなに撮らなかった。そもそも俺だけなら行ってなかった。…夢も同じじゃね?」
美琴「え…」
修「1人でも頑張れるし、叶えられるかもしんねぇけど、誰かとだから出来ることがあると思う」
美琴(誰かとだから…)
「そうだね、ありがとう」
ドアを開け降りる。手を振り、車を見送る。
美琴(何でだろう。あいつの言葉はいつも私の中に留まる)
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