【こちらはマンガシナリオです】正しい愛し方教えてよ
見透かされる
9月
○大学の体育館、夕方
バドミントンサークルが練習している風景。
休憩中の結菜の横に新谷が座る。
新谷「試合間近とはいえ、いつにも増してスマッシュの勢いがすげぇんだけど」
二人の視線の先、美琴の打つ姿。
結菜「無心になりたいんじゃない?」
新谷「あれか、失恋の痛みを忘れたいってやつな」
結菜「あー、多分違うことに対してかも」
修を思い浮かべて意味深な顔。
新谷「?」
○練習後、体育館から門までの帰り道、夜
新谷「で、どうよ?恋の傷は」
隣の美琴に話しかける
美琴「聞かないで」
新谷「あはは、俺の友達紹介してやろうか?」
美琴「当分恋愛する気ないから結構です」
新谷「そんな寂しいこと言うなよー。なんなら俺が癒して…」
新谷の話を聞かず、斜め前を歩く2年の女子を見る。
美琴(あ!そういえば…)
「ねぇ!純ちゃん!」
純「!」
振り向く。
美琴「純ちゃんって薬学部だよね!?」
純「はい、そうですけど」
美琴「中峰って知ってる!?」
純「え、もちろん知ってますよ。モテモテの中峰くんですよね?」
美琴「モテモテ…?」
純「はい。イケメンだし、背高いし、有名サロンモデルですからね。それに…」
美琴「サロンモデル?」
純「中峰くんがサロンモデルすると、インスタはバズるし、美容院は大盛況になるんですって。うちの学年で知らない人はいないと思うなぁ。ファッションモデルのスカウトもよくされるけど、今は断ってるみたいですよ。あ、これです」
純はスマホの画面を見せる。インスタ画面。クールでかっこいい修の写真。
美琴(認めたくないけど…これはかっこいいな)
新谷「おぉ、かっけーな!なに、篠原このイケメンと仲良いの?」
美琴「そんなんじゃない!」
結菜「美琴、この子と口喧嘩したのよ」
後ろから結菜が話に入ってくる。
新谷「口喧嘩?」
美琴「ちょっと言い合いになっただけ」
新谷「気の強い笹原と言い合うとか、そいつやるなぁ!気が合いそうじゃん」
美琴「冗談やめてよ」
(誰があんなやつと…)
不満そうな顔。
○美琴の部屋
帰宅後、ピコン、ラインの通知。修から。
スマホ画面
修『水曜ヒマ?遊ぼ』
謎のスタンプとともに。
美琴(なんだこの軽い誘いは)
スマホ画面
美琴『試合近いからその日も練習』
修『試合いつ?』
美琴(…うん、無視しよう)
次の週
○バドミントン試合会場、朝
館内をジャージ姿で歩く美琴。
美琴(あと最終確認して、それから…)
修「おーい!美琴ーっ!」
前から片手をポケットに入れ、もう片方の手を大きく振る修が来る。横には森下がいる。
美琴「え!?何でいるの!?」
修「玉森さんから聞いた」
美琴(純ちゃん…)
「試合の邪魔しないでよね!」
修「応援しに来てやったのにその態度はなんだよ。可愛げねーなー」
美琴「応援なんて頼んでないし」
プルルル、修のスマホが鳴る。
修「もしもーし」
少し離れたところへ移動する修
美琴「森下くんと違って、なんであんな奴がうちの大学入れたのか謎だわ」
修を見ながら。
森下「修はああ見えて、首席入学ですよ」
美琴(首席!?)
森下「医学部にも余裕で入れるレベルです。ま、あんまり言うと本人が嫌がるんで」
美琴(そうだったんだ…。人は見かけによらないな)
他のメンバー「美琴ー!そろそろ行くよー」
呼びかける。
美琴「了解ー。じゃあ、行くね」
森下「はい、頑張ってください」
美琴「ありがとう」
歩き進んでいると
修「美琴!」
声がして振り返る。
修「負けんなよ」口角上がる感じ。
美琴は少し頬を染め、プイッとして再度歩く。
○応援席
萌「あ!中峰くーん、森下くーん!」
萌が2人の元へ駆け寄る。
修「お、もえもえじゃん」
萌「間に合ってよかったー。2人も来てたんだねぇ」
森下「ちょうど入場してきたところですよ」
コートに入ってくる美琴と新谷。
森下「美琴さん、男女のダブルスなんですね」
萌「みこちゃんと新谷くんは同じ高校で、その時からペア組んでるんだってさぁ。去年も試合見に来たけど、阿吽の呼吸って言うのかな?すごく息ぴったりで強いんだよぉー。もういっそのこと2人が付き合っちゃえばいいのにって思うぐらい」
森下「へぇ、そうなんですね」
修「ふーん」
頬杖をつき美琴たちを見る修。
○コート内
試合開始。
選手たち「よろしくお願いしまーす!」
真剣な顔でスマッシュを打つ美琴と新谷。激しいラリーが続く。
美琴(勝っても負けても今日が最後の試合。それならできるだけ勝ち進みたい)
初戦、2回戦を勝ち進んだシーン。
3回戦が始まった。
美琴(これに勝てば準々決勝。対戦相手は負けたことのないペア。いつも通りの力を出せばいける)
試合風景。
萌と森下が声を出し応援する横で、美琴の戦う姿をじっと見る修。
両チーム1マッチずつ取り迎えた3ゲーム目。相手ペアが11点になり、1分の休憩に入る。
美琴がタオルで汗を拭きながら、ふと応援席を見ると修と目が合う。
美琴「!」
修の口元が動き、何か言ってる風。
試合終了の合図。スコアボード、惜しい点差。
美琴(負けた…)
「新谷、ごめん。私が最後ミスしたから」
新谷「謝んなよ。ミスはお互い様だし、やり切ったじゃん。勝てなかったけど、すげー楽しかった!笹原、長い間ありがとな!」
笑顔の新谷と複雑そうな顔の美琴。
○館内
新谷「シングルスの試合まで少し時間あるから各自、休憩や視察しといて」
新谷が部員たちに伝える。
○館内の人のいない階段
美琴が座っている。
美琴「ふぅ…」
(失恋して、試合に負けて、なんか最近不運続き。違う、不運なんかじゃない。…全部私の力不足だ)
膝を抱え落ち込んだ様子。
トン
頭の上にペットボトルが当たる。見上げると横に修が立っている。
美琴「びっくりしたぁ」
修「お疲れ」
ペットボトルを差し出す。
美琴「ありがと…」
少し距離を空け隣に座る。
美琴「…負けたことバカにしに来たんでしょ」
(なんとなく、こいつの前では勝ちたかった。あの時目が合って、頑張れって言われた気がした)
試合中に目が合ったシーン。
美琴(なのに…悔しい…)
修「…バカにするわけねーじゃん」
美琴「え…」
驚いた顔で修を見る。
修「めちゃくちゃカッコよかった」
美琴(そんなふうに思ってくれたんだ)
パサッ。美琴の横に置かれたタオルを修が美琴の頭にかける。
修「ほら、これで顔見えねーから」
美琴「へ…?」
修「どうせ、泣くの我慢してんだろ?」
美琴(全て見透かされている気がした。人前で泣けない私の弱さも、もうそこまで涙が押し寄せていたことも。あぁ、ほんと何なのこの男。むかつく…だけど、今はここに居てほしい)
泣く美琴の横で何も言わずそばにいる修。
○大学の体育館、夕方
バドミントンサークルが練習している風景。
休憩中の結菜の横に新谷が座る。
新谷「試合間近とはいえ、いつにも増してスマッシュの勢いがすげぇんだけど」
二人の視線の先、美琴の打つ姿。
結菜「無心になりたいんじゃない?」
新谷「あれか、失恋の痛みを忘れたいってやつな」
結菜「あー、多分違うことに対してかも」
修を思い浮かべて意味深な顔。
新谷「?」
○練習後、体育館から門までの帰り道、夜
新谷「で、どうよ?恋の傷は」
隣の美琴に話しかける
美琴「聞かないで」
新谷「あはは、俺の友達紹介してやろうか?」
美琴「当分恋愛する気ないから結構です」
新谷「そんな寂しいこと言うなよー。なんなら俺が癒して…」
新谷の話を聞かず、斜め前を歩く2年の女子を見る。
美琴(あ!そういえば…)
「ねぇ!純ちゃん!」
純「!」
振り向く。
美琴「純ちゃんって薬学部だよね!?」
純「はい、そうですけど」
美琴「中峰って知ってる!?」
純「え、もちろん知ってますよ。モテモテの中峰くんですよね?」
美琴「モテモテ…?」
純「はい。イケメンだし、背高いし、有名サロンモデルですからね。それに…」
美琴「サロンモデル?」
純「中峰くんがサロンモデルすると、インスタはバズるし、美容院は大盛況になるんですって。うちの学年で知らない人はいないと思うなぁ。ファッションモデルのスカウトもよくされるけど、今は断ってるみたいですよ。あ、これです」
純はスマホの画面を見せる。インスタ画面。クールでかっこいい修の写真。
美琴(認めたくないけど…これはかっこいいな)
新谷「おぉ、かっけーな!なに、篠原このイケメンと仲良いの?」
美琴「そんなんじゃない!」
結菜「美琴、この子と口喧嘩したのよ」
後ろから結菜が話に入ってくる。
新谷「口喧嘩?」
美琴「ちょっと言い合いになっただけ」
新谷「気の強い笹原と言い合うとか、そいつやるなぁ!気が合いそうじゃん」
美琴「冗談やめてよ」
(誰があんなやつと…)
不満そうな顔。
○美琴の部屋
帰宅後、ピコン、ラインの通知。修から。
スマホ画面
修『水曜ヒマ?遊ぼ』
謎のスタンプとともに。
美琴(なんだこの軽い誘いは)
スマホ画面
美琴『試合近いからその日も練習』
修『試合いつ?』
美琴(…うん、無視しよう)
次の週
○バドミントン試合会場、朝
館内をジャージ姿で歩く美琴。
美琴(あと最終確認して、それから…)
修「おーい!美琴ーっ!」
前から片手をポケットに入れ、もう片方の手を大きく振る修が来る。横には森下がいる。
美琴「え!?何でいるの!?」
修「玉森さんから聞いた」
美琴(純ちゃん…)
「試合の邪魔しないでよね!」
修「応援しに来てやったのにその態度はなんだよ。可愛げねーなー」
美琴「応援なんて頼んでないし」
プルルル、修のスマホが鳴る。
修「もしもーし」
少し離れたところへ移動する修
美琴「森下くんと違って、なんであんな奴がうちの大学入れたのか謎だわ」
修を見ながら。
森下「修はああ見えて、首席入学ですよ」
美琴(首席!?)
森下「医学部にも余裕で入れるレベルです。ま、あんまり言うと本人が嫌がるんで」
美琴(そうだったんだ…。人は見かけによらないな)
他のメンバー「美琴ー!そろそろ行くよー」
呼びかける。
美琴「了解ー。じゃあ、行くね」
森下「はい、頑張ってください」
美琴「ありがとう」
歩き進んでいると
修「美琴!」
声がして振り返る。
修「負けんなよ」口角上がる感じ。
美琴は少し頬を染め、プイッとして再度歩く。
○応援席
萌「あ!中峰くーん、森下くーん!」
萌が2人の元へ駆け寄る。
修「お、もえもえじゃん」
萌「間に合ってよかったー。2人も来てたんだねぇ」
森下「ちょうど入場してきたところですよ」
コートに入ってくる美琴と新谷。
森下「美琴さん、男女のダブルスなんですね」
萌「みこちゃんと新谷くんは同じ高校で、その時からペア組んでるんだってさぁ。去年も試合見に来たけど、阿吽の呼吸って言うのかな?すごく息ぴったりで強いんだよぉー。もういっそのこと2人が付き合っちゃえばいいのにって思うぐらい」
森下「へぇ、そうなんですね」
修「ふーん」
頬杖をつき美琴たちを見る修。
○コート内
試合開始。
選手たち「よろしくお願いしまーす!」
真剣な顔でスマッシュを打つ美琴と新谷。激しいラリーが続く。
美琴(勝っても負けても今日が最後の試合。それならできるだけ勝ち進みたい)
初戦、2回戦を勝ち進んだシーン。
3回戦が始まった。
美琴(これに勝てば準々決勝。対戦相手は負けたことのないペア。いつも通りの力を出せばいける)
試合風景。
萌と森下が声を出し応援する横で、美琴の戦う姿をじっと見る修。
両チーム1マッチずつ取り迎えた3ゲーム目。相手ペアが11点になり、1分の休憩に入る。
美琴がタオルで汗を拭きながら、ふと応援席を見ると修と目が合う。
美琴「!」
修の口元が動き、何か言ってる風。
試合終了の合図。スコアボード、惜しい点差。
美琴(負けた…)
「新谷、ごめん。私が最後ミスしたから」
新谷「謝んなよ。ミスはお互い様だし、やり切ったじゃん。勝てなかったけど、すげー楽しかった!笹原、長い間ありがとな!」
笑顔の新谷と複雑そうな顔の美琴。
○館内
新谷「シングルスの試合まで少し時間あるから各自、休憩や視察しといて」
新谷が部員たちに伝える。
○館内の人のいない階段
美琴が座っている。
美琴「ふぅ…」
(失恋して、試合に負けて、なんか最近不運続き。違う、不運なんかじゃない。…全部私の力不足だ)
膝を抱え落ち込んだ様子。
トン
頭の上にペットボトルが当たる。見上げると横に修が立っている。
美琴「びっくりしたぁ」
修「お疲れ」
ペットボトルを差し出す。
美琴「ありがと…」
少し距離を空け隣に座る。
美琴「…負けたことバカにしに来たんでしょ」
(なんとなく、こいつの前では勝ちたかった。あの時目が合って、頑張れって言われた気がした)
試合中に目が合ったシーン。
美琴(なのに…悔しい…)
修「…バカにするわけねーじゃん」
美琴「え…」
驚いた顔で修を見る。
修「めちゃくちゃカッコよかった」
美琴(そんなふうに思ってくれたんだ)
パサッ。美琴の横に置かれたタオルを修が美琴の頭にかける。
修「ほら、これで顔見えねーから」
美琴「へ…?」
修「どうせ、泣くの我慢してんだろ?」
美琴(全て見透かされている気がした。人前で泣けない私の弱さも、もうそこまで涙が押し寄せていたことも。あぁ、ほんと何なのこの男。むかつく…だけど、今はここに居てほしい)
泣く美琴の横で何も言わずそばにいる修。