この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
強くなりたい。

もっと、強くなりたい。

泣かないで、倒れないで、全部背負える自分になりたい。

でも――もしも母がいなくなったら。

そのとき私は、誰を頼ればいいの?

ひとりで生きていく覚悟なんて、本当にできているの……?

「私、必死に働くから。」

声が震える。

なのに、無理やり笑った。

「だから……早く、早く良くなってよ。」

それは、叫びたいほどの願いだった。

希望だった。

生きていてほしい。私の、大切な人。

「結衣……ありがとうね。」

母が泣きそうな笑顔を見せたとき、私はもう何も言えなかった。
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