この結婚はビジネスのはずでしたが、御曹司が本気で愛してきます
帰り道、川にかかる橋を渡った。

ああ、水が綺麗。

空の色をそのまま映していて、流れは穏やかで、冷たそうで。

こんなところで、死ねたらいいな……なんて。

ふと、橋の縁に手をかけた。

不自然じゃない程度に、そっと。

風が肌に触れて、髪をなびかせる。

母が入院してから、やたらと“死”について考えるようになった。

死ぬって、どんな感じだろう。

怖い? 痛い? それとも、ただ静かなだけ?

苦しまないで、ふっといなくなれたらいいのに。

そうしたら、借金の取り立ての電話も、誰にも来なくなる。

誰かを困らせることもない。

「……ああ、そうだ。」

小さく声が漏れた。

「私、死亡保険……入ってるんだった。たしか、一千万円。」

ぽつりと笑いそうになった。
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