推しに告白(嘘)されまして。
1.鉄子に玉砕大作戦!
1.作戦の全容
「名付けて!鉄子に玉砕大作戦だ!」
放課後、廊下を移動していると、とある教室からそんなふざけた作戦の名前が聞こえてきた。
全く誰がこんなバカな話をしているのか。
呆れながらも少し気になったのでその場で足を止め、声の聞こえた教室の方へと聞き耳を立ててみる。
ちなみに鉄子とは私、鉄崎柚子のことである。
「お前はモテすぎなんだよ!悠里!だから鉄子に告白して玉砕するんだ!」
沢村くん!?
突然聞こえてきた推しの名前にドクン!と大きく心臓が跳ねた。
どうやらあの教室内には私の推し、同学年のスポーツ科、沢村悠里くんもいるらしい。
沢村くんはまだ3年生が引退していないにも関わらず、2年生にして我が校のバスケ部のエースであり、そのかっこよすぎる爽やかな見た目から〝バスケ部の王子〟と言われ、ファンを多数獲得している存在だ。
ちなみに私もそのファンの1人で決して表には出さないが、こっそり沢村くんを推していた。
「イケメンで?優しくて?高身長で?バスケ部のエースで?そりゃ、女子が放っておかないよな?」
「毎日毎日悠里に告白告白。うちの大事なエースなのに告白の対応でほぼ部活に出られない、練習に参加できないってどういうことなんだよ」
「毎日最低、1〜2人、多い時は5人以上に告白されて、それに毎度丁寧に受け答えしてりゃあ練習時間もなくなるわな」
「うちは強豪校の一つだぞ?今年は全国でのベスト8だって視野に入っているのにこれじゃあな…」
教室内から聞こえる複数の男子生徒たちの困っているような声や、不満そうな声と、話の内容を聞き、私はすぐに教室内にいるのは、推しの沢村くんとバスケ部の生徒たちだと察せた。
沢村くんが毎日告白されていることは、この学校では周知の事実であり、放課後の恒例行事にさえもなっていたが、まさかここまで深刻な状況になっていたとは。
そしてその告白に全て丁寧に対応していたなんて、やはり沢村くんは推せる。
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