推しに告白(嘘)されまして。




『すごく美味しかった。お店出せるレベル』



まず最初に目に入ったのはそう書かれたメッセージだ。それからその下には、喜んでいる様子の可愛らしいメルヘン猫のスタンプがあり、さらにその下には写真まであった。

悠里くんの部屋らしい机の上に置かれている、私が確かに作った生チョコタルト。

悠里くんから送られてきたメッセージと写真に、私は感動して、天を仰いだ。

あ、ありがとう!世界!
全てに感謝!
千夏ちゃん、千晴、ありがとう!
私が作った生チョコタルトが今、悠里くんの部屋に鎮座していらっしゃるという奇跡に大感謝!

嬉しさで震える指に鞭打ちながらも、『美味しかったようでよかった!』と、メッセージを打つ。
逸る気持ちを抑えて、誤字脱字はないか確認し、そのメッセージを送信すると、私は一息ついた。

ああ、幸せだ。

メッセージを送ってすぐに、私のメッセージに既読がついた。
どうやらもう推しは私からのメッセージを見てくれたらしい。



『今ちょっと電話できる?』



で、電話?

唐突に送られてきた推しからの神メッセージに、私は一瞬だけ固まった。
だが、それはほんの一瞬で、私はすぐに正気を取り戻した。
推しである悠里くんを一分一秒たりとも待たせてはいけない。
すぐに返事を打つのだ。
もちろん、『YES』と。

慌てて『できる!』と返信すると、スマホからコール音が鳴った。
悠里くんからの着信だ。
私はワンコールでそれに出た。



『もしもし、柚子?急にごめんね』



スマホから推しのイケボが聞こえる。
いつもより低く聞こえる声に、私の胸はギューン、と締め付けられた。
声だけでも魅力的すぎるとは、私の推しはとんでもない存在だ。



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