推しに告白(嘘)されまして。
するとそんな私に今度は左隣から悠里くんが「柚子」と声をかけてきた。
なので、私は一旦カレーを食べる手を止めて、「ん?」と悠里くんの方へ視線を向けた。
「俺の班と柚子の班、ちょっとカレーの見た目違うよね?柚子のカレーも食べてみたいな。食べさせてくれる?」
ふわりと笑い、伺うように悠里くんが私を見る。
悠里くんの指摘に視線を落とすと、確かに私と悠里くんのカレーはほんの少しだけ見た目が違った。
ルーの色は私の班の方が少し淡い茶色で、野菜もお肉も小さめなのだ。
少しだけ違う見た目に、私も悠里くんと同じ興味を抱いた。
「どうぞ、どうぞ。味の感想も聞かせてね」
私は快く頷いて、悠里くんがカレーを食べやすいように、おぼんの左端へお皿を寄せる。
そんな私に悠里くんは「ありがとう」と微笑むと、視線を伏せて、遠慮がちに口を小さく開けた。
…え。
突然の悠里くんの行動に私は思わず固まってしまう。
伏せられた視線はどこか儚げで、それでいて色気があり、開けられた口から見える舌や歯は普段まじまじと見るところではないので、どうしてもドギマギしてしまう。
こ、この、悠里くんの行動は一体…。
意味がわからずに何度もまばたきをしていると、恥ずかしそうに悠里くんは視線を上げた。