茨の冠は恋を知る
祝賀式典当日。
王宮の中央広場には、数百名を超える貴族たちが集まっていた。
その場で──
第二王子カイル・ヴァレンティウスは、
伯爵令嬢リシェル・エレノア・ディアノルトを、
“本物の婚約者”として迎えることを正式に宣言した。
“悪役令嬢”と囁かれた女。
“氷の王子”と呼ばれた男。
ふたりは今、誰の許しも要らず、互いを選んだ。
それは、王宮の陰謀に打ち勝った証であり、
契約を越えた、真実の愛の始まりだった。