【完結】バツイチですが、恋人のフリをお願いした年下イケメンくんからアプローチされて困ってます!


「じゃあ、そういうことで」

 その時、眞紀人くんの家のインターホンが鳴った。

「お、出前来たみたいだ。 取ってくる」

「あ、うん。ありがとう」

 眞紀人くんと恋人のフリをいつまで続けるのかは、わからない。 だけど、明日那の言うとおり、たまには遠回りをするのも悪くない気がした。

「はい、お待たせ」

「ありがとう」

「お腹減った。 食べよう、食べよう」

「うん、食べよう」

 眞紀人くんといると、私の曇っていた心がスッと晴れた気がした。 明るく照らしてくれる気がした。

「眞紀人くん、何頼んだの?」

「これ? カツ丼」

 嬉しそうにカツ丼を見せてくる眞紀人くんに、思わず「カツ丼なんてわんぱくだね」と笑ってしまった。

「そういう菫花さんは、何を頼んだの?」

「私? 私はこれよ」
  
「何それ?」

 不思議そうに器を覗き込む眞紀人くんに、私は「ガパオライス」と伝えた。

「菫花さん、ガパオライス好きなの?」

「うん、好き」

「カツ丼も好き?」

「うん、好き」

 そう答えたら今度は「じゃあ、俺のこと好き?」と聞かれてしまい、思わず眞紀人くんに視線を向けた。

「えっ? 今なんて?」

「ん?俺なんか言ったっけ?」

 今ちゃんと言っていたのを私は聞いていたのに、とぼけようとしている目の前の眞紀人くんにびっくりしている。

「い、言ってたじゃない……今」

「え?俺なんて言ってた?」

「そ、それは……」

 もしかして……私に言わせようとしてる? 待って、これってわざと……?
 ああ、わからない……。男心がわからない。

「……ううん、別に何も言ってなかったよ。気のせいだったみたい」

 そういうことに、しておこう。
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