Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)
10、モノクローム(4)
引き寄せては返す波が、飲み込もうと迫る。
体勢を入れ替えられ、涼の上で、彼を感じていた。
「りょ、うちゃん……あ」
揺れる。涼が近すぎて、生々しい。
「なあ? 俺も言ったんやから正直に言えや」
「ん……」
「愛したのは俺だけなんやろ?」
「……涼ちゃんだけ」
「それが聞けたら満足やわ」
鋭く繰り出され、めまいを感じる。
求めて、与えてを繰り返し、同じ声を重ねて堕ちた。
菫子の体を抱きとめて涼は、背中を撫でる。
「同じ夢見れるかな……」
繋がったままに、眠りに身を任せた。
手を繋いで、駆け抜けた先には虹の橋がかかっていた。
「綺麗ね」
「菫子の方がずっと綺麗やで」
「真顔で言うのね」
「こういうの軽く言えへんのや」
「何よ……何回好きになればいいのよ」
「俺も何べんも惚れ直しとるんやで」
ゆっくりと橋を渡る。
欲しい言葉をくれる人が側にいるだけで、心強い。
たとえ足元が透けていても。
ささやかな口づけが、交わされる。
いつまでも、この温もりが冷めませんようにと同じ願いをかけながら。
「涼ちゃん、おはよう」
うつぶせで横たわりながら、隣に呼びかける。
寝たふりだろうか。背中を揺すっても無反応だ。
「シャワー借りるわね」
ベッドを降りようとした途端足が、引っ張られた。
シーツの中、顔を合わせたのは、間違いなく猛獣。
「……何するのよ」
「余韻に浸らせて」
余韻どころか、次の瞬間には深く口づけられていた。
問答無用と言わんばかりに、攻め立てられ、
菫子は涼の腕の中で、変わる自分を実感させられた。
「明日起きられなかったらどうするのよ」
「興醒めさせんなや。菫子は俺のええ女やろ」
「……ずるいわ」
「じゃあ、終わりにする?」
「いけず」
「菫子、やっぱりこっちの言葉好きなんや」
「褒めてないのに、嬉しそうね」
「意地悪とか言われるばっかじゃ飽きるし」
「……っ」
菫子は、うなだれた。おかしくて笑ってしまう。
「好きやねん」
「ん……大好き」
もぞもぞとシーツの中で動いた涼が、菫子の中に入ってくるまでわずかな時間だった。
迎え入れる時の感覚は、言葉では表せない。
(抱かれながら、次のあなたを想像しているのは夢見がちなのかしら)
体が一体化したまま解けないのではないかと感じていた。
一緒に燃え尽きてしまう気がして、少し怖かった。
愛し合って、目を覚ました時には夜が明けていて、二人でシャワーを浴びた。
奔放(ほんぽう)にからかう涼をあしらって、甘いひと時を堪能した。
乾燥機で洗った服を乾かして、受け取る時、奇妙な照れが襲った。
「パジャマはここに置いとくね」
「またいつでも来れるようにやな。しょうがないな」
でれでれしているのが、よく分かる顔に菫子は苦笑した。
「……そういうことでよろしくお願いします」
「ほな、行くか」
玄関を出る時に、涼はふと立ち止まり、呟いた。
「夜通し愛すか……あの曲通りやったな」
「後から恥ずかしくなるでしょ」
「今度かけながらとか、どうや? 雰囲気盛り上がるで」
「そんな使い方したら駄目よ」
涼は、けらけらと笑った。
「バイトのことやけど」
「……忙しくてバイトを辞めなきゃならなくなるまで、同じ場所で頑張りたい」
「俺もその気持ちが分かるから、菫子にばっか言ったら、自己中すぎるな。
何かあったら、すぐSOSするんやで。
ぶっ飛ばしていくから」
「……ありがとう。そう言ってもらえてよかった」
「行こう」
バイクに乗って、送られる。
回数が増えて、普通になっていくのだろうか。
バイクから見る街は、歩く時とも電車の中から見るのとも違って見えて
まさに、駆け抜けるというのがふさわしかった。
体勢を入れ替えられ、涼の上で、彼を感じていた。
「りょ、うちゃん……あ」
揺れる。涼が近すぎて、生々しい。
「なあ? 俺も言ったんやから正直に言えや」
「ん……」
「愛したのは俺だけなんやろ?」
「……涼ちゃんだけ」
「それが聞けたら満足やわ」
鋭く繰り出され、めまいを感じる。
求めて、与えてを繰り返し、同じ声を重ねて堕ちた。
菫子の体を抱きとめて涼は、背中を撫でる。
「同じ夢見れるかな……」
繋がったままに、眠りに身を任せた。
手を繋いで、駆け抜けた先には虹の橋がかかっていた。
「綺麗ね」
「菫子の方がずっと綺麗やで」
「真顔で言うのね」
「こういうの軽く言えへんのや」
「何よ……何回好きになればいいのよ」
「俺も何べんも惚れ直しとるんやで」
ゆっくりと橋を渡る。
欲しい言葉をくれる人が側にいるだけで、心強い。
たとえ足元が透けていても。
ささやかな口づけが、交わされる。
いつまでも、この温もりが冷めませんようにと同じ願いをかけながら。
「涼ちゃん、おはよう」
うつぶせで横たわりながら、隣に呼びかける。
寝たふりだろうか。背中を揺すっても無反応だ。
「シャワー借りるわね」
ベッドを降りようとした途端足が、引っ張られた。
シーツの中、顔を合わせたのは、間違いなく猛獣。
「……何するのよ」
「余韻に浸らせて」
余韻どころか、次の瞬間には深く口づけられていた。
問答無用と言わんばかりに、攻め立てられ、
菫子は涼の腕の中で、変わる自分を実感させられた。
「明日起きられなかったらどうするのよ」
「興醒めさせんなや。菫子は俺のええ女やろ」
「……ずるいわ」
「じゃあ、終わりにする?」
「いけず」
「菫子、やっぱりこっちの言葉好きなんや」
「褒めてないのに、嬉しそうね」
「意地悪とか言われるばっかじゃ飽きるし」
「……っ」
菫子は、うなだれた。おかしくて笑ってしまう。
「好きやねん」
「ん……大好き」
もぞもぞとシーツの中で動いた涼が、菫子の中に入ってくるまでわずかな時間だった。
迎え入れる時の感覚は、言葉では表せない。
(抱かれながら、次のあなたを想像しているのは夢見がちなのかしら)
体が一体化したまま解けないのではないかと感じていた。
一緒に燃え尽きてしまう気がして、少し怖かった。
愛し合って、目を覚ました時には夜が明けていて、二人でシャワーを浴びた。
奔放(ほんぽう)にからかう涼をあしらって、甘いひと時を堪能した。
乾燥機で洗った服を乾かして、受け取る時、奇妙な照れが襲った。
「パジャマはここに置いとくね」
「またいつでも来れるようにやな。しょうがないな」
でれでれしているのが、よく分かる顔に菫子は苦笑した。
「……そういうことでよろしくお願いします」
「ほな、行くか」
玄関を出る時に、涼はふと立ち止まり、呟いた。
「夜通し愛すか……あの曲通りやったな」
「後から恥ずかしくなるでしょ」
「今度かけながらとか、どうや? 雰囲気盛り上がるで」
「そんな使い方したら駄目よ」
涼は、けらけらと笑った。
「バイトのことやけど」
「……忙しくてバイトを辞めなきゃならなくなるまで、同じ場所で頑張りたい」
「俺もその気持ちが分かるから、菫子にばっか言ったら、自己中すぎるな。
何かあったら、すぐSOSするんやで。
ぶっ飛ばしていくから」
「……ありがとう。そう言ってもらえてよかった」
「行こう」
バイクに乗って、送られる。
回数が増えて、普通になっていくのだろうか。
バイクから見る街は、歩く時とも電車の中から見るのとも違って見えて
まさに、駆け抜けるというのがふさわしかった。