Pleasure Treasure(プレジャ、トレジャ)
10、モノクローム(3)
「うわ、乱暴!」
部屋の間仕切りを足で蹴倒し、ベッドに下ろされた。
この仕切りの意味を考える。
今更ながら、とんでもないことをしていたなと振り返った。
「もろバレやったな」
「涼ちゃん、私の部屋にはやっぱり来てほしくないんだけど」
「……約束ちゃうやん」
「割り勘で別の場所に」
「声も音もいっぱいだしてもかまへん所行くんやな」
「っ……そんな言い方しないで」
いきなり首筋に噛みつかれ、膝を立てる。
「……想像するだけで好きなように暴走する俺が見える」
「困る……」
「俺が、欲しくないって」
「……欲しい」
「素直なええ子やな?」
弾かれて、揺さぶられる。
「感触最高」
「やらしい」
「人間なんてこんなもんやろ」
「そうなの?」
「ああ。俺が一番好かんのは綺麗事やから」
「……綺麗事じゃないのは、知っているわ」
「汚れを纏わんと大人にはなれんのや……」
辿る指先、触れる唇。
(理性なんて凍りつくくらい、狂ってしまえたら。
あなたのことがもっと分かる。私を伝えられる)
好きになればなるほど翻弄されて、染められる。
涼以外見えていない。
異性として意識することはないのだ。
「あなたをもっと……感じたいの」
涼の瞳が、すっと細くなる。
「……無邪気なのもええ加減にせんと痛い目見て後で泣くことになるで」
心臓を打ち貫く鮮烈な言葉。
菫子は大胆になっていく自分に呆れながらも、そんな自分が嫌いではなかった。
「……いいの」
「そんなん言われたら、もう堪らんな」
「あっ……」
忍び込んだ指に擦られ、駆け抜ける電流に蝕まれる。
浅く、深く、探る奔放な指は、菫子より彼女を知っているかのように。
耳元に触れた刺激が、奥深い所の熱を焚きつける。
遠くへ連れ去っていく。
シーツに沈んだ菫子の指先の一本一本にキスが与えられる。
高みに登りつめた彼女は、その時の涼の表情を知らない。
瞼に、キスが降って菫子は、ぼんやり瞳を開いた。
「唇が良かった?」
「……瞼もいい」
甘酸っぱくて、可愛らしかった。
「頬なんて染めちゃって」
つん、と頬を指でつつかれ、屈託なく笑う。
身をよじって、笑い転げる菫子は、足の間に触れる物で、現実に引き戻される。
涼は、スムーズに事を進めている。
「覚悟してるんやろ」
「……大丈夫」
雰囲気が瞬時に変わる。
自分から涼の手を掴んで、固く握った。
「抱いたのは菫子が初めてやないけど、愛したのはお前しかおらんわ」
今更嫉妬せずともいいのだ。
愛したのは、菫子しかいないという言葉がまっすぐ信じられるのだから。
衝撃が、凄まじくて、叫ぶ。
涼の想いが、丸ごと伝わって来て、瞳から涙を零す。
部屋の間仕切りを足で蹴倒し、ベッドに下ろされた。
この仕切りの意味を考える。
今更ながら、とんでもないことをしていたなと振り返った。
「もろバレやったな」
「涼ちゃん、私の部屋にはやっぱり来てほしくないんだけど」
「……約束ちゃうやん」
「割り勘で別の場所に」
「声も音もいっぱいだしてもかまへん所行くんやな」
「っ……そんな言い方しないで」
いきなり首筋に噛みつかれ、膝を立てる。
「……想像するだけで好きなように暴走する俺が見える」
「困る……」
「俺が、欲しくないって」
「……欲しい」
「素直なええ子やな?」
弾かれて、揺さぶられる。
「感触最高」
「やらしい」
「人間なんてこんなもんやろ」
「そうなの?」
「ああ。俺が一番好かんのは綺麗事やから」
「……綺麗事じゃないのは、知っているわ」
「汚れを纏わんと大人にはなれんのや……」
辿る指先、触れる唇。
(理性なんて凍りつくくらい、狂ってしまえたら。
あなたのことがもっと分かる。私を伝えられる)
好きになればなるほど翻弄されて、染められる。
涼以外見えていない。
異性として意識することはないのだ。
「あなたをもっと……感じたいの」
涼の瞳が、すっと細くなる。
「……無邪気なのもええ加減にせんと痛い目見て後で泣くことになるで」
心臓を打ち貫く鮮烈な言葉。
菫子は大胆になっていく自分に呆れながらも、そんな自分が嫌いではなかった。
「……いいの」
「そんなん言われたら、もう堪らんな」
「あっ……」
忍び込んだ指に擦られ、駆け抜ける電流に蝕まれる。
浅く、深く、探る奔放な指は、菫子より彼女を知っているかのように。
耳元に触れた刺激が、奥深い所の熱を焚きつける。
遠くへ連れ去っていく。
シーツに沈んだ菫子の指先の一本一本にキスが与えられる。
高みに登りつめた彼女は、その時の涼の表情を知らない。
瞼に、キスが降って菫子は、ぼんやり瞳を開いた。
「唇が良かった?」
「……瞼もいい」
甘酸っぱくて、可愛らしかった。
「頬なんて染めちゃって」
つん、と頬を指でつつかれ、屈託なく笑う。
身をよじって、笑い転げる菫子は、足の間に触れる物で、現実に引き戻される。
涼は、スムーズに事を進めている。
「覚悟してるんやろ」
「……大丈夫」
雰囲気が瞬時に変わる。
自分から涼の手を掴んで、固く握った。
「抱いたのは菫子が初めてやないけど、愛したのはお前しかおらんわ」
今更嫉妬せずともいいのだ。
愛したのは、菫子しかいないという言葉がまっすぐ信じられるのだから。
衝撃が、凄まじくて、叫ぶ。
涼の想いが、丸ごと伝わって来て、瞳から涙を零す。