夏休みの自由課題について
そう言って一さんが右足のスネに残っている傷口を見せてくれました。
深く突き刺さったというその場所だけ皮膚の色が確かに違います。

「その森とか廃墟はどこにあったんですか?」
「中学校の場所は変わってないから、あの辺にあったんだよ」

一さんは記憶をたどって白い紙に地図を描いてくれました。
川はまだ湾曲しておらず、中学校の大きさも今より小さいころの地図です。

「今の中学校は川を湾曲させて、裏の森も潰して増築したんですね?」
「そういうことだね。だけど森全部がなくなったわけじゃない。今でも一部は残っているだろう?」

一さんにそう聞かれて私は頷きました。
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