夏休みの自由課題について
「じゃあ教えるけど、この村には昔大きなお屋敷があったんだ」

☆☆☆

大正●年。
その屋敷は岡山県北部●●村にあった。

村の中では一番の大きさを誇る屋敷の中には何人もの使用人が働いていて、来る日も来る日もにぎやかさが絶えないでいた。

だけど人が集まればそこに亀裂も生まれる。
どれだけ小さな集団だろうと、それは同じことだった。

『ちょっと、どいてちょうだい』
『あ、すみません』
『邪魔だよあんた』
『ごめんなさい』

小さな体を更に小さくして廊下の隅を拭き掃除しているのは貧しい家の一人娘だった。
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