隠れスー女の恋の行方
「……赤木さん」
「……はい……」
神崎が、小さく息を吐く。
「俺……この時間が終わるの、ちょっと寂しいと思ってる」
「……え……?」
「今日一日、赤木さんといろんな話して、いろんな相撲観て……思ったんだ。もっと、知りたいって」
「……」
「赤木さんの“好き”も、日常も、そういう全部を……これから、少しずつでいいから」
「……」
「知っていけたら、うれしい。……だめかな」
(——それって)
胸の奥が、きゅうっと鳴った。
うれしい。驚き。信じられない。
でもなにより——あたたかくて、涙が出そうだった。