Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
二人で立ち上がり、何度もお辞儀をして拍手に応える。
光は小夜に笑顔で頷くと、左手で観客の注目を小夜に促してからステージを降りた。

次は小夜のソロステージだ。
仕切り直すように、小夜は深呼吸してから椅子に座った。

おもむろに手を載せて奏で始めたのは、華やかな編曲の『もろびとこぞりて』
続いてはシューベルトの『アヴェ・マリア』
クラシカルな雰囲気を意識して、光とは違ったピアノの魅力を披露した。

そして『生命(いのち)の奇跡』
女性が涙ぐむ姿が見え、思わず小夜も胸が詰まり、涙が込み上げてきた。
一人で弾いている時には感じることがなかった感動が、聴いてくれる人によって小夜自身にも与えられる。
観客との対話で作り出される、この場限りの音楽。

(なんて幸せで、なんて切ないのだろう)

それは想との思い出に似ている。
小夜はそう感じながら、胸を打ち震わせてピアノを奏でていた。
< 61 / 123 >

この作品をシェア

pagetop