Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
再会
控え室で着替えを終え、小夜はスマートフォンを手にしていた。
ロビーで待ってる、と言って先に出ていった光にメッセージを打つ。

【マスターがケーキを振る舞ってくれたの。これからいただくから、光くんは先に帰っててね】

送信するとテーブルにスマートフォンを置き、美味しそうなブッシュドノエルに思わず笑みを浮かべた。

「いただきまーす」

手を合わせてから、早速ひとくち食べてみる。

(んー、美味しい。コンサートも無事に終わったし、最高のクリスマスイブ)

ふふっと頬に手を当てて、紅茶と一緒に美味しく味わった。

「さてと、マスターに挨拶して帰ろう」

荷物をまとめると、店内に繋がるドアを開けた。
次の瞬間……

(えっ?)

月明かりに浮かび上がるステージの上でピアノに向かっている人影に、小夜は息を呑んだまま動けなくなった。
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