Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
迎えた二月十四日。
楽器店の仕事を終えると、光と一緒にバーに向かう。
マスターと最終確認をしてから、控え室に入った。
光が着替えている間に、小夜はフロントに下りてチェックインを済ませる。
想の為にカードキーを一枚預けておいた。

【これから本番です。もし想の方が早かったら、フロントで「1505室の藤原です」って伝えてカードキーを受け取って、部屋で待っててね】

メッセージを送ってから控え室に戻ると、着替えを終えた光が髪をセットしているところだった。

「へえ、光くん、今夜はブルーのシャツなんだね」
「おう。かっこいいだろ?」
「自分で言わなければね」

軽くあしらいながら、小夜も鏡の前に座り、髪をポニーテールにする。
毛先を巻いて動きをつけ、結び目にくるくると巻きつけてから、赤いベルベットのシュシュで飾った。

「おっ、いいなその色。やっぱりドレスも赤か?」
「うん。バレンタインだもんね」
「早く着替えろよ」
「着替えませんよ」

言い合っているうちに、時間になる。
小夜は「行ってらっしゃい」と光を見送った。
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