Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
分かち合う幸せ
「光くん、お疲れ様。どこか行ってたの?」
バーの出口でお客様を見送っていた小夜は、浮かない表情で戻ってきた光に首をかしげる。
「皆さん、光くんの演奏が素敵だったって、感想を伝えたがってたよ」
「……そうか」
「ほんとによかったよ。セッションも楽しかった。ありがとう」
笑いかけても光の表情は暗いままだ。
「光くん、どうかした?」
「いや、着替えてくる」
「あ、うん」
そそくさと控え室に入ると、光はものの数分で戻ってきた。
髪を無造作に崩し、いつものジーンズとパーカーのラフな服装に着替えている。
「俺、先に帰るわ」
「うん、わかった。お疲れ様」
「ああ」
目を伏せたまま足早に去っていく光のうしろ姿を、どうしたのかと見送っていると、マスターが近づいてきた。
「藤原さん、今夜もお疲れ様でした。これ、バレンタインのケーキなんです。ゲストのカップルにお渡ししていたものなんだけど、よかったら藤原さんにも」
そう言って、小ぶりのケーキの箱を差し出す。
「えっ、いいんですか? ありがとうございます!」
小夜は満面の笑みで受け取った。
「どうぞ素敵なバレンタインの夜を」
そう言ってにっこり笑いかけてから、マスターは店内に戻っていった。
バーの出口でお客様を見送っていた小夜は、浮かない表情で戻ってきた光に首をかしげる。
「皆さん、光くんの演奏が素敵だったって、感想を伝えたがってたよ」
「……そうか」
「ほんとによかったよ。セッションも楽しかった。ありがとう」
笑いかけても光の表情は暗いままだ。
「光くん、どうかした?」
「いや、着替えてくる」
「あ、うん」
そそくさと控え室に入ると、光はものの数分で戻ってきた。
髪を無造作に崩し、いつものジーンズとパーカーのラフな服装に着替えている。
「俺、先に帰るわ」
「うん、わかった。お疲れ様」
「ああ」
目を伏せたまま足早に去っていく光のうしろ姿を、どうしたのかと見送っていると、マスターが近づいてきた。
「藤原さん、今夜もお疲れ様でした。これ、バレンタインのケーキなんです。ゲストのカップルにお渡ししていたものなんだけど、よかったら藤原さんにも」
そう言って、小ぶりのケーキの箱を差し出す。
「えっ、いいんですか? ありがとうございます!」
小夜は満面の笑みで受け取った。
「どうぞ素敵なバレンタインの夜を」
そう言ってにっこり笑いかけてから、マスターは店内に戻っていった。