Blue Moon〜小さな夜の奇跡〜
ダブルアンコールは、また男性もステージに上がり、小夜と二人で『Stand by me』を演奏する。
右手でフィンガースナップをしながら弾く男性に促され、観客も手拍子で盛り上がった。
コンサートが終わり、誰かに見つからないうちにとバーを出ると、ピアニストの男性が追いかけてきた。
「ちょっと待て」
想は少しだけ顔を振り向かせる。
「小夜の男って、あんただろ?」
いきなり不躾に言われて、想は短く答えた。
「それがどうした」
「あんた、本気で小夜を幸せにするつもりあんのか? 今まで散々不安にさせたり、放ったらかしにしてきたんだろ。今更なんて言って近づいたのか知らないけど、諦めかけてた小夜を中途半端に振り回すのなら別れてくれ」
想はキュッと眉根を寄せると、正面から向き直った。
「言いたいことはそれだけか?」
「……なに?」
男性がピクリと頬を引きつらせる。
「奪えるものなら奪ってみろ。俺は絶対に小夜を離さない」
低い声でそう告げると、想は踵を返して立ち去った。
右手でフィンガースナップをしながら弾く男性に促され、観客も手拍子で盛り上がった。
コンサートが終わり、誰かに見つからないうちにとバーを出ると、ピアニストの男性が追いかけてきた。
「ちょっと待て」
想は少しだけ顔を振り向かせる。
「小夜の男って、あんただろ?」
いきなり不躾に言われて、想は短く答えた。
「それがどうした」
「あんた、本気で小夜を幸せにするつもりあんのか? 今まで散々不安にさせたり、放ったらかしにしてきたんだろ。今更なんて言って近づいたのか知らないけど、諦めかけてた小夜を中途半端に振り回すのなら別れてくれ」
想はキュッと眉根を寄せると、正面から向き直った。
「言いたいことはそれだけか?」
「……なに?」
男性がピクリと頬を引きつらせる。
「奪えるものなら奪ってみろ。俺は絶対に小夜を離さない」
低い声でそう告げると、想は踵を返して立ち去った。