君と進む季節
7.距離を越えて
キャンパスが秋の空気に包まれた頃、文化祭の準備が本格的になってきた。
日に日に会議や作業が増えて、忙しい毎日。
君とは違う班になったけれど、時々同じ会議室で顔を合わせた。
テーブルを挟んで数人越しの、少し遠い席。
話す余裕はなくて、議題はどんどん進んでいく。
一言も交わさないのに、
同じ空間にいるだけでなんだか嬉しい。
会議が終わって、君が誰かに呼ばれて席を立つ。
その後ろ姿をつい目で追ってしまう。
「話したいなぁ」って、心の中でそっとつぶやいた。
忙しくなる前の夜は、たまに君とくだらないことで電話して、
「明日どこ集合?」なんて他愛ない会話をしていた。
今はスマホを握ったまま、君のアイコンを眺めるだけ。
結局何も送れずに画面を伏せる。
夜の散歩が増えたのは、頭をすっきりさせるため。
君もきっと忙しいんだろうな。
だから今は自分の気持ちを抑えるしかない。
文化祭の会議で君と同じ部屋にいられる時間だけが、
何でもないふりをして君を見ていられる、ささやかな余白だった。
たまに目が合うと、俺はふざけて君にしか見えないように片目を閉じる。
君はほんの少し驚いた顔をするけど、すぐにまた笑う。
会議が終わって、廊下ですれ違ったほんの数秒。
君が小さな声で言った。
「文化祭終わったら、ゆっくり話そうね」
日に日に会議や作業が増えて、忙しい毎日。
君とは違う班になったけれど、時々同じ会議室で顔を合わせた。
テーブルを挟んで数人越しの、少し遠い席。
話す余裕はなくて、議題はどんどん進んでいく。
一言も交わさないのに、
同じ空間にいるだけでなんだか嬉しい。
会議が終わって、君が誰かに呼ばれて席を立つ。
その後ろ姿をつい目で追ってしまう。
「話したいなぁ」って、心の中でそっとつぶやいた。
忙しくなる前の夜は、たまに君とくだらないことで電話して、
「明日どこ集合?」なんて他愛ない会話をしていた。
今はスマホを握ったまま、君のアイコンを眺めるだけ。
結局何も送れずに画面を伏せる。
夜の散歩が増えたのは、頭をすっきりさせるため。
君もきっと忙しいんだろうな。
だから今は自分の気持ちを抑えるしかない。
文化祭の会議で君と同じ部屋にいられる時間だけが、
何でもないふりをして君を見ていられる、ささやかな余白だった。
たまに目が合うと、俺はふざけて君にしか見えないように片目を閉じる。
君はほんの少し驚いた顔をするけど、すぐにまた笑う。
会議が終わって、廊下ですれ違ったほんの数秒。
君が小さな声で言った。
「文化祭終わったら、ゆっくり話そうね」