色褪せて、着色して。~番外編~
 じっとピアノの曲を聞く時間が続く。
「デイ、おまえは幾つになる?」
 急に、メグミが話しかけてきたので。
 デイは「わお」と声に出してしまう。
「あなたより1つしか違いませんよ」
「28か…。あと2年といったところか」
「そうっすね」
 昔から騎士の引退は30歳まで…と暗黙の了解がある。
 肉体的にキツくなってくるので、ニンジャもだいたい30歳前後で皆、辞めていく。
「君は趣味があるのか」
「趣味? あるわけないでしょ。仕事一筋で生きているんですから」
 おかしな人だ…とデイはメグミを盗み見た。
 身長2メートル近くある大男はもうすぐ、ここから出て行くのだ。
「俺のことなんかより、メグミさんこそ行くあてはあるんすか。天涯孤独なんでしょ」
「私は、退職金として土地を貰った」
 …なんだよ。ローズ様。激オコのわりにはやっぱりメグミさんのこと好きなんじゃん。

「それで? その土地でどうされるんです?」
「孤児院を作ろうと考えている」
 あまりにも意外な返事だったので、デイはメグミを凝視してしまった。
「私のような目が見えない子や、身体にハンデのある子や。居場所のない子の為の家を作りたい」
「……そういうところっすよね。メグミさんって」
 こんなに優しいのに。
 戦闘態勢になれば、誰構わず相手を消してしまう恐ろしい人だということを。
 一体、どれだけの人が知っているだろうか。
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