色褪せて、着色して。~番外編~
第3章 ナズナのはなし
 カンカンカン。
 脳髄に響くような、音が毎朝6時半に聞こえてくる。
 鍋を叩くことで、目覚まし代わりにしているそうだが。
 本当にイライラするのだと…皆は口を揃えて言う。

 21時消灯。6時半起床。
 2段ベッドの下段。
 ここだけが自分のプライベート空間。
 むくりと起きて。身支度を整え。
 たいして、美味しいとは思えない寮母の作った朝食を食べ終えて。
 職場へと向かう。
 職場までは歩いて20分ほど。
 掃除、洗濯、料理のセッティングに子守…
 やることは沢山ある。
 15歳になるナズナは「よしっ」と気合を入れてモップを手にする。
 この秘密の館と呼ばれる屋敷での仕事は3年目を迎えようとしていた。
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