色褪せて、着色して。~番外編~
 スズメが騎士を目指したのは母の影響だった。
 母は国家騎士が一番カッコイイと口癖のように言っていた。
 現に、スズメの「父」という人は国家騎士のお偉いさんだ。

 翌日。
 朝食後にすぐに訓練が始まる。
 ランニングから始まり、剣術・武術。
 みっちり3時間の訓練後。
 それぞれの配属先に行く。
 一旦、部屋に戻ったスズメはトペニが戻っていないことに気づいた。
 直接配属先に行ったのかもしれないが。
 新人である奴が道を知っているわけがない。
 もしや、迷子にでもなったのだろうかとスズメはトペニを探すことにした。

 グラウンド、食堂…
 人通り、見回った後。
 スズメはトペニを見つけた。
 トペニは3人の男に囲まれて、殴られ蹴られていた。
 スズメは冷めた目で見つめた後、盛大にため息をついた。
「おい、何をしている」
 スズメの声にトペニをボコボコにしていた3人はスズメを見て、「なんだ、正義きどりのスズメか」と言って笑った。

 新人虐めは、当たり前のように起きているが。
 まさか、2日目で先輩に目をつけられてボコボコにされるとは。
 上司に見つからないように、建物の裏で隠れてボコボコにしている。
「新人を殴る理由はなんだ? 規律が乱れる。マキ室長に報告する」
「規律だあ? こいつが罪人だって知ってるだろ?」
 スズメは、ザイニンという言葉に「は?」と声を漏らした。
 トペニを虐めているのはスズメの同期だった。
「罪人だか何だか知らないが、先輩が後輩を虐める理由はないだろ。卑怯だ」
 大声でスズメは言うと。
 3人に向かって、立ち向かった。
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