AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
「……ふぅん」
「目力がすごいんですよぉ、カレにジッと見られて、ときめいちゃいました。めちゃくちゃきれいな顔なんですよ? 髪がちょっとだけ長くて妖しい雰囲気があって……あの人だれなんだろうなぁ。また会えないかなぁ……」

 桃子はうっとりと陶酔しながら、頬に手を当てた。

「でも会社の人じゃないっぽいしなぁ……」

 桃子は眉を下げ、ハァ、と切なそうにため息をついた。

 普段の精神状態なら、もしかしたらそれは久々津のことかもしれないと気づけたはずだ。宝瑠はぼんやりとカップの淵に口を付け、聞き流していた。

 小野寺とのことが、ただただショックで。うきうきと話す桃子の声は右から左へすり抜けていった。

 窓際のカウンターテーブルへまた移動する。無表情でたいした反応も示さない宝瑠を見つめ、「先輩?」と桃子が首を傾げた。

 サーバーからできあがったカフェオレを取り出し、シュガーを混ぜると、桃子は執務スペースへ戻っていった。

 小野寺の傷ついた横顔と、あの声が。何度も頭の中でリフレインしていた。

 *

 定時の17時を過ぎたところでスマホがぶるぶると震え出した。宝瑠は部下に残業させないように、一度鞄を持ち、「お疲れ様」と声をかけてフロアを後にした。
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