AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。
 宝瑠の言葉に、並樹常務は一瞬きょとんとしたあと、照れたように視線を逸らした。

 ナミキホールディングスのエントランスをくぐり抜け、宝瑠はすぐさま電話をかけた。

「お疲れ様です、課長。……ええ、正式に契約いただきました」

 一瞬だけ沈黙が返ったのち、課長が低く笑う。

『すごいじゃないか、四ノ宮。あの手強い先方を口説き落とすとは。さすがチーフだな』

 その言葉に、張り詰めていたものがフッとほどけ、肩の力が抜けた。「ありがとうございます」と礼を述べ、宝瑠はスマホを鞄に仕舞った。

 何気なく後ろを振り返り、高く聳え立つオフィスビルを見上げる。家族を大切に想う並樹常務の柔らかな表情を思い出し、宝瑠はふと目を細めた。

 ——「ひまがママのお顔をまちがえるわけないもん」
 ——「お顔がいっしょなんだよ?」

 ここへ来る前に聞いた少女のセリフが、頭の中でリフレインする。

 今日、廊下ですれ違った久々津ですら、宝瑠の顔を真正面から確認し、驚いていた。

 ——「失礼。知り合いによく似ていたもので」

 低く淡々とした声を思い出し、宝瑠の思考がある仮説を導き出した。

 おそらくは、久々津の妻であり、少女の母親である女性の容貌が、宝瑠と瓜二つなのだろう。
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