優等生のくせに、俺のマンガにだけは赤面する
冗談みたいに笑いながら、高原はすっと立ち上がり、俺の机の横に移動してきた。

距離が、急に近い。

ふわっと風が吹いた。

外から差し込む西日が、その茶色い髪を透かす。

目の前が、妙に明るくなった。

「これ、今読んでるんだけどね」

高原が差し出したのは、分厚い単行本だった。

……戦記もののファンタジー?

騎士と魔導士が共に戦う、王道の冒険譚。

ぱらぱらとページをめくると、想像以上にしっかり描き込まれていて驚く。

「これ読むとさ、自分がおとぎ話のヒーローになった気がするんだよ」

……そんなこと、堂々と言うやつ、初めて見た。

高原は明るい。気さくで、人付き合いも上手い。

女子にもモテてるし、話しかければ誰とでもすぐ仲良くなる。

体育の時なんか、クラス中の注目を集めていた。

君は、もうヒーローみたいな人間なのに。

どうしてそんなにまっすぐな目で、俺に話しかけてくるんだよ。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop