15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜

第1章 出会いは、ほんの一瞬の勇気から

ー人生の出会いは、日常の隙間にあることが多い。でもそれを人は気づかないで、通り過ぎて行く。

雨の日、私は傘を差しながら、交差点を歩いていた。

小さな水たまりが靴のつま先を濡らす。

濡れたアスファルトに光が滲んで、まるで世界がフィルム越しに見えているようだった。

そのとき、一台の車が横を通り過ぎた。

艶やかなボディに水しぶきを跳ね上げながら走るその車は、一目で分かるほどの高級車。

交差点を過ぎて停まり、後部座席のドアが開く。

降りてきたのは、背の高い男性だった。

雨粒を払うようにスーツの袖口を整え、腕に光るのは、見たこともないほど上質な時計。

端正な顔立ちに、無駄のない仕草。

思わず目を奪われる。

“かっこいい人だな”と、そんな軽い気持ちで見ていた。

その人はサッと傘を開く。

そして、その端正な顔立ちは、傘に隠れて見えなくなった。
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