15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜

第6章 あなたが甘くなったのは、私のせい?

次のデートは、居酒屋だった。

いつもの高級レストランやカフェじゃない、赤ちょうちんの灯る、ちょっとにぎやかな店。

「へえ。こんな場所、初めてだな。」

玲央さんが目を丸くして、周囲をきょろきょろと見渡す姿が、なんだか微笑ましくて笑ってしまった。

「美味しいんですよ、ここ。たまにはこういうのもいいかなって。」

「ひよりとなら、どこでもいいけどね。」

店員さんに案内されてカウンター席へ。

自然と並んで座ることになった。

肩が少し触れる距離が、なんだか新鮮だった。

注文を終えて、料理が届くまでのわずかな時間。

ふと、玲央さんが身を寄せてきて、私の耳元にそっと囁く。

「好きだよ。」

その一言で、心臓が跳ねた。顔がかっと熱くなる。

「玲央さん……ずるい。」

精一杯、平静を装って言い返したけれど、声が震えていたかもしれない。

玲央さんは、そんな私を見て、くすっと笑った。
< 151 / 297 >

この作品をシェア

pagetop