私のテディベアに、私が溺愛されるまで
陸はグラスをテーブルに置いて、少しだけ眉をひそめた。

「……一朗にいって、ほんとに分からないの? ちょっと酷すぎじゃない?」

「……は?」

一朗は完全に面を食らった表情で、眉を寄せる。

「楓、小さい頃からずっと本気だよ?」

「だから何が」

本気の意味が分からず、一朗は思わず返してしまう。

陸はしばし呆れたように沈黙し、それからゆっくり言った。

「……うそー。信じられない」

一朗はまったくピンと来ていない顔をしていた。

陸はまっすぐに一朗を見て、静かに、けれど確かな言葉で告げた。

「楓、一朗にいが好きだからだろ」

その一言で、一朗の思考がふと止まった。

まるで、心の奥に鍵をかけていた引き出しを、急に開けられたような感覚だった。
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