女王陛下のお婿さま
 しばらくして、大きなため息が彼の口から零れ出る。クラウスも床に両膝をつき、アルベルティーナと目線を合わせた。

 彼女の頬にそっと、手を伸ばす。触れると柔らかい感触が。

「……参ったな、プロポーズされるなんて、思ってもみなかった」

「クラウス……」

「この前、ファビオ王子に殴られて……お前がどんなに大切だったのか、思い知らされたんだ。それに加えて、お前からのプロポーズだなんて……ほんと、ファビオ王子の言う通り、俺は馬鹿だった」

「そうよ! こんなに可愛くて魅力的な幼馴染みをほおっておくなんて、本当に馬鹿だわ!」

 少し拗ねたように怒るアルベルティーナが愛しくて、思わずクラウスは笑みをこぼしてしまった。

「今のこんな俺じゃあ、女王のアルベルティーナには相応しくない、勝手にそう思ってた。でも、違ったんだな……俺が好きなのは、幼馴染みのティナなんだ。だから、俺からも言わせてくれ」

 クラウスはアルベルティーナの手を取ると、その甲にそっとキスを落とす。


「ティナ、俺と結婚してください」


 ポロリと、アルベルティーナの瞳から涙が零れ落ち、クラウスの手を濡らした。

「もちろん、喜んでお受けいたします……!」

 泣きながらアルベルティーナが返事を返すと、クラウスは優しく彼女を抱きしめた。

「その白いドレス、綺麗だな……凄くティナに似合ってる」

「ありがとう。仮縫いのまま走ったから、所々破けてきちゃったけど……」

「ちゃんと縫って、結婚式にはそれを着たらいい。きっとティナの美しさに皆が驚く」

「……クラウスのキザな軽口、久しぶりに聞いたわ」

 アルベルティーナが可笑しくなって笑いだすと、クラウスもつられて笑い。部屋の外にまで声が響くほど、二人は暫く笑っていた。





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