女王陛下のお婿さま

「ねえ、クラウス……子供の頃、朝焼けを見ながら約束したの、覚えてるって言ったよね」

「ああ」

「クラウスは私を守ってくれるって約束したけど、私もクラウスを守るって、約束したよね」

「……でも、女王になったお前が守らなくちゃいけないのは、国民だ。俺じゃない。それに、俺は……」

 クラウスはちっともアルベルティーナを見ようとはしない。目を背けたままだった。

「そう、私はこの国の女王として国民を守らなくちゃいけない。でもね、ハレルヤ王国の一人の女性として、クラウスを守りたいの!」

「一人の女性として……?」

「ファビオ王子に全部聞いたわ! パレン家の借金の事も、クラウスがいつも私を守ってくれていたって事も。だから私は、女王陛下じゃなくてただのアルベルティーナとして、クラウスを守るって決めたの!」

 クラウスはその言葉に驚いて、やっとアルベルティーナと目を合わせた。彼女の顔は真っ赤で、でも瞳は真っ直ぐにクラウスを見つめていた。

 その強い瞳から、クラウスはもう目が逸らせない。

「ティナ、俺は……」

 クラウスが何かを言いかけた瞬間、アルベルティーナはふわりとドレスをなびかせて床に膝を付いた。そして――


「クラウス、どうか私と結婚してください」


 それは、アルベルティーナからのプロポーズだった。クラウスは言葉を失った。

「パレン家の借金は、どうしたらいいのか分からないけど、これから二人で考えればいいわ。それに、借金があろうが何だろうが、私が幼馴染みのクラウスを好きな事は変わらない。クラウスが一緒じゃないと、私は幸せになれないの……色々遠回りしちゃったけど、やっとそれが分かったの」

 泣き出しそうな顔をしながら、はっきりと言い切ったアルベルティーナ。
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