女王陛下のお婿さま
 パレン公爵家の借金は、アルベルティーナの父の助言を受け、彼の夜逃げした叔父を探し出した事で解決した。いくら爵位を放棄したとはいえ、それを作ったのは叔父だ。今後はその叔父が王国の監視下で働き、返済する事になった。

 売り払われた土地や物は戻らないが、借金でパレン家が困窮する事は無くなったのだった。

 アルベルティーナはもう一度クラウスと視線を交わす。こんな晴れの日に、隣に彼がいる幸せを噛み締めて……

 大扉にいたニコライが二人のすぐ近くへ歩み出る。そして――

「――皆様、ご静粛に。お二人は先程、神前で婚約の誓いを交わされました」

 ニコライの言葉に会場から拍手が起きた。彼はその拍手が収まるのを待って、言葉を続けた。

「婚約の証としまして、この場で白バラの交換をおこないます。皆様にも是非とも証人としてお立ち合い願います」

 ハレルヤ王国の慣習で、婚約した二人は白いバラを送り合う。白いバラの花ことばは純潔と、約束。

 ニコライが話し終わり一礼すると、それを合図に指揮者が指揮棒を振った。穏やかで優しいバイオリンの音が奏でられる。それと一緒に、マイラが大きなトレイを両手に乗せてアルベルティーナとクラウスの前へ現れた。

 トレイの上には、白いバラで作った花冠とコサージュが乗っている。マイラは嬉しさに感極まって涙ぐみ、二人を見つめながら膝を着きそれを掲げた。

 二人は向かい合うと、先にクラウスが花冠をアルベルティーナの頭へ乗せ、次にアルベルティーナがクラウスの胸にコサージュを飾る。そしてまた二人が会場へ向き直ると、大きな祝福の拍手が巻き起こった。

 幸せな幸せな、瞬間だった――





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