響け、希望と愛の鐘
月光が彼の真剣な表情を照らし、優美の心臓が大きく跳ねる。

「優美。

 今日のデモ、すごかった。

 監禁の時、俺がそばにいて優美を守れなかったこと、ずっと悔やんでた。

  でも、今日の優美、輝いてた。
 ……俺、ずっと先輩のそばで、未来作りたい」

ハギくんがポケットから小さなベルベットの箱を取り出し、ゆっくりと開ける。

 中には、優美の誕生石をあしらったシルバーの指輪が、月光を受けて輝いている。

 ハギくんの声が震える。

 「優美。

 この先、いつでもどこでも、優美と一緒にいたい。

 ……俺と、結婚して下さい」

優美の目から涙が溢れ、胸が甘く締め付けられる。

 彼女はハギくんの頬に手を当て、震える声で囁いた。

 「こんな素敵な場所で言うなんて、ズルいよ。

 ハギくんと生涯一緒にいれるの、嬉しいからもちろん、喜んでお受けします。

 一緒に、幸せになろうね。

 いつかは、2人だけじゃなくて3人でいられるといいな。

 何年後になるか、分からないけど」

「優美がそう言ってくれるなら、3年でも5年でも待つよ。

 優美、愛してる」

ハギくんが指輪を優美の薬指に滑らせ、二人は抱き合った。

 月光と夜景が、永遠の約束を祝福する。

 優美はハギくんの胸に顔を埋め、呟いた。

 「ハギくん……こんな幸せなの、人生で初めて。
 ありがとう」

2人は橋の上で何度もキスを交わし、星空が彼らの愛を見守った。

優美の心にあったトラウマの傷は、すっかり消え去っていた。

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