響け、希望と愛の鐘
二人はソファに寄り添い、窓からマンハッタンのビル群を眺める。

 優美のNPOはグローバルに展開し、被害者支援アプリ「SafeConnect」のローンチを準備中。

 ハギくんは国際法務で支える。

 佐藤健太の脅迫や監禁のトラウマは愛で癒え、優美の心は幸せで満ちていた。

 だが、この朝、優美は微かな吐き気と倦怠感を感じ、そっと腹部に手を当てる。

「ハギくん。
 なんか、最近、ちょっと朝身体が怠くて」
 
ハギくんが優美の手を握り、目を覗き込む。

 「優美、大丈夫?
 病院、行く?
 俺、何なら一緒に病院行くよ」

大丈夫、と返事をしながら、優美は日本にいるであろう、麗眞さんの執事にメールで連絡を取っていた。

優美は、タクシーでマンハッタンにある病院へ向かっていた。
 
日本にいる麗眞くんの親友である医師たちが、それぞれのツテを使い、日本語対応の出来る産婦人科を調べて、教えてくれていたのだ。

 病院で妊娠を確認してから、優美は帰宅した。

 
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