響け！猛毒のグラーヴェ
（目の前に謎があると解きたくなるのが探偵だからね）

レオンハルトが心から尊敬する名探偵セドリックも様々な謎に向き合っている。レオンハルトはエミリーを真っ直ぐ見つめた。

「この挑戦、受けさせていただきます」

「そう言ってくれると嬉しいわ」

「この絵、部屋に持って行ってもよろしいですか？」

「もちろんですわ。あとで使用人に運ばせます」

エミリーがそう言った時、部屋のドアがノックされた。そして「失礼致します」という声と共に、美しい羽を生やした妖精が姿を見せた。妖精と言っても、その大きさは人と変わらない。

「エミリー様、食後のお薬の時間です」

妖精の手には錠剤がある。エミリーは「……そうだったわね」と嫌そうな顔をした。アントーニョが訊ねる。

「体、具合が悪いんですか？」

アントーニョの問いに妖精は「守秘義務がありますので」と淡々と答え、エミリーも笑って誤魔化している。体の状態は知られたくないようだ。レオンハルトは目の前の絵を見つめる。
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