響け！猛毒のグラーヴェ
リズが心配そうに訊ねる。その表情にレオンハルトは胸の高鳴りを覚えながら、エミリー・ストーンが亡くなったことを話した。途端に鏡の向こうに動揺が走る。

『エミリーさんが！？』

マーガレットが両手で口を覆う。その目はあちこちに動いており、相当動揺していることがわかった。

「すまないが、もう少しビオロンセロに滞在してもいいかな？」

『大丈夫ですよ！こっちのことは心配しないでください！』

『レオンは気になることがあると謎を解き明かしたいタイプだからねぇ』

カナタが笑顔で大きく頷き、その隣でオルハンがフッと笑う。リズは自身の両手を強く握り締めていた。

「リズ？」

レオンハルトが声をかけると、リズはハッとした様子で手を解く。しかし、その手は髪や体を触ったりどこか落ち着かない。少ししてからリズは口を開いた。

『……また何かあったら、教えてください』

「もちろんだよ」

レオンハルトの言葉にリズが笑う。その表情は、正体を突き止めると決意したあの夜のように艶やかなものだった。
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