響け!猛毒のグラーヴェ
オルハンたちとの連絡を終えた後、レオンハルトとアントーニョはアトリエへと向かった。連絡をする前は制服を着た警察官だけだったが、現場の指揮を取るためかスーツ姿の刑事が駆け付けている。
「こんにちは。エミリー・ストーンさんの死に事件性があるのでしょうか?」
レオンハルトは刑事に声をかける。恰幅がよい刑事はギロリと鋭い目でレオンハルトを睨み付けた。
「何なんだね、君は」
「こいつはレオンハルト・ジッキンゲン。トロンペーテで有名な探偵だ。事件性があるならこいつも捜査に参加させてやってくれねぇか?パパッと事件解決するぜ」
アントーニョがレオンハルトを親指で示しながら言う。刑事はフンと鼻を鳴らした後、エミリーの遺体に向き直った。エミリーの遺体やその付近は制服を着た警察官たちが調べている最中である。
「探偵の力などなくとも事件は解決する。そもそも事件だとはまだ決まっていない」
「エミリー嬢は何かを飲んだ後に倒れたように思えます。毒物が飲み物に入っていたかどうかを調べるべきかと」